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九州豪雨から1週間 普段から災害の心構えを 南木曽教訓に意識向上 長野

7/12(水) 7:55配信

産経新聞

 福岡、大分両県を襲った九州豪雨は12日で発生から1週間を迎える。県内では、平成26年7月に発生した南木曽町の土石流災害が記憶に新しく、地元ではこの3年間で防災対策を推進してきた。豪雨をはじめとする気象現象は、予想を超えた規模で深刻な被害をもたらすケースがある。普段から災害時を見越した心構えを持つとともに、地域での自主防災力を向上させる必要がありそうだ。(三宅真太郎)

 ◆風化させない

 平成26年7月9日、木曽地方の山あいにある南木曽町で、住宅や田畑の間を流れる梨子(なし)沢を土石流が下った。当時、同町付近での解析雨量は、午後5時半までの1時間で約90ミリと猛烈な雨を観測。土石流の発生で全壊10棟を含む計43棟の住宅が損壊し、南木曽中学校1年の榑沼(くれぬま)海斗君=当時(12)=が死亡した。

 国と県、町は災害後、復旧工事はもとより、上流の土砂をせき止めるため、総額約50億円を費やして砂防ダム10基を新設するなど防災対策に乗り出した。町は、住民の防災意識向上を目指し、専門家による講習会を開催し、榑沼君が通っていた南木曽中も水害を想定した避難訓練を行った。

 町は今年度中に、「住民が自らの命を守れるように」と、過去の土石流災害の規模や被害をまとめた冊子を町内すべての約1800世帯に配る。梨子沢の右岸には今年、災害の教訓を風化させないため、石碑「平成じゃぬけの碑」が完成した。流れ下る土石流の様子をヘビに例え、本来なら「蛇抜(じゃぬ)け」との表記を平仮名で表した。

 ◆地域の共助必要

 南木曽町の災害発生時、町が避難勧告を出したのは、土石流が発生した約10分後だった。今後の災害でも、自治体による避難勧告や指示など警報の発令が後手に回る可能性もある。

 長野地方気象台の佐藤義之気象情報官は「県の急峻(きゅうしゅん)な地形では、いつどこで土砂崩れなどの災害が起きても不思議ではない」と指摘。同時に、「平常時から、万が一の事態に備え、シミュレーションをしてほしい」と呼びかける。

 災害発生時には、素早い行動と地域の結びつきが被害を食い止める。26年11月、県北部を震源に最大震度6弱を観測した地震が発生し、白馬村を中心に約80棟の家屋が全半壊した。だが、住民が助け合い、倒壊家屋から下敷きになった人を救出した。後に「白馬の奇跡」と称される。

 自然災害の調査研究を行う信州大地域防災減災センターの菊池聡センター長は「『白馬の奇跡』は地域の共助が重要であることを示した。だが、機能しない地域もある」と懸念する。そのうえで「地域特性にあわせた共助のあり方を考えることが必要だ」としている。

最終更新:7/12(水) 7:55
産経新聞