ここから本文です

IS、日本の喉元に迫る フィリピン、インドネシア…アジアが戦場

7/12(水) 7:55配信

産経新聞

 中東で「イスラム国」(IS)の掃討作戦が進む中、東南アジアでのISの拡大が顕著だ。フィリピン・ミンダナオ島ではISに忠誠を誓うグループが都市の占拠を続けており、インドネシアでもテロは絶えない。ISはシリアやイラクでは劣勢に立たされつつも、アメーバのように分裂して東進しており、日本のそばにまで「テロとの戦い」は迫っている。

 ◆ミンダナオ40万避難

 「(フィリピンの状況は)アジア地域すべての国にとって、ウエークアップコール(警告)だ」

 米太平洋軍のハリー・ハリス司令官は6月下旬、オーストラリアでの演説で、泥沼化する戦況についてこう指摘した。

 ISに忠誠を誓う「マウテグループ」を軸とする武装組織がミンダナオ島のマラウイを占拠したのは5月下旬だが、状況は好転していない。政府軍の空爆を含む攻撃に対し、狙撃手を街中に配置し、住民らを「人の盾」とするなど激しい抵抗を続けている。ロイター通信によると、これまでに住民44人を含む450人以上が死亡。避難民は40万人ともいわれる。武装勢力側には国境を越え、インドネシアやマレーシアから多数の戦闘員が流入しているとされる。現地紙ダバオトゥデイ(電子版)によると、戦闘終了後、武装勢力側から複数の中東出身者の遺体が見つかったという。

 「ISが都市を占領することは中東の出来事と思っていた。アジアで起こるとは誰も考えていなかった」。米全国紙USA TODAY(電子版)は識者のコメントを引用する形で現地の衝撃と動揺を伝えた。

 ◆多数のイスラム教徒

 フィリピンに限らず、東南アジアでテロ対策は「地域最大の課題」(シンガポールのウン・エンヘン国防相)だ。東南アジア各国は多数のイスラム教徒を抱え、特にインドネシアは人口約2億5千万人のうち約9割がイスラム教徒という世界最大のイスラム国家だ。ISの思想が浸透しやすい素地がある。

 首都ジャカルタでは、2016年1月にショッピングモールで爆発が発生し、4人が死亡。ミンダナオ島の武装組織から武器が供給された形跡があり、東南アジアでテロネットワークが形成されていることがうかがえる。ジャカルタでは今年5月にもバスターミナル付近で爆発が起き、警察官3人が死亡した。

 SNSを通じてISの思想が拡散するなど、対策は取りづらい。ISは昨年公表した動画で、シリアに行けない“同志”は「フィリピンに集え」と呼びかけたという。フィリピン、インドネシア、マレーシアの3カ国は戦闘員の密航といった横の連携を断つため、6月下旬から合同で海上パトロールを始めたが効果を発揮するかは未知数だ。

 こうした状況は日本にとっても無関係ではない。公安関係者は「東南アジアは距離的にも近く、日本の喉元近くまでISが迫っている。対岸の火事ではない」と警戒。情報収集に乗り出すとしている。(森浩)

最終更新:7/12(水) 8:34
産経新聞