ここから本文です

九州豪雨1週間・朝倉市ルポ 「雨が怖い」不安続く 道にがれき、復旧進まず

7/12(水) 15:20配信

産経新聞

 九州北部を襲った記録的な豪雨から1週間となった12日、大きな被害が出た福岡県朝倉市では、自衛隊員らによる行方不明者の捜索が続いていた。土砂崩れが多発し、氾濫した川の濁流にのまれた市内。復旧作業は思うように進まず、被災者は避難所生活を強いられている。現場を歩き住民の声を聞いた。(井上浩平)

 「このあたりにわが家があったんですが…」。川が氾濫して濁流にのまれた杷木星丸(はきほしまる)地区で、伊藤光弘さん(79)が無念そうに話した。小川に沿って住宅が並んでいたという場所に建物は一切なく、コンクリートの基礎が残るだけ。一面を覆った土砂に冷蔵庫などの家電製品や布団などが埋まっていた。

 流失を免れた住宅の1階に流されたとみられる車が突っ込み、付近で自衛隊や消防などが不明者を捜索していた。周辺の道路が冠水して孤立し、小学生ら54人が一夜を過ごした近くの市立松末(ますえ)小学校に続く道は幅約1メートルを残して陥没していたが、自宅の様子を見に行く住民の姿もあった。

 押しつぶされた住宅そばの畑で農作業をしていた女性(74)は「近くで3人が流されて、2人は見つかっていない。普段は住民のつながりの強い地域だけどお葬式の連絡もない」と話す。発見された1人は数十キロ離れた有明海で見つかったという。

 杷木地区の避難所に向かった。駐車場に迷彩の自衛隊車両が止まり、玄関では住民が配給の弁当を食べている。数日前にため池が決壊する恐れがあるため一時的に避難指示が出され、高齢者らが別の避難所から移った。塚本喜代子さん(78)は「1日3食を食べられるだけでもありがたいが、夜は全く眠れない」と疲れた表情だった。

 複数の行方不明者の捜索が続いていた山田地区。遺体で見つかった元小学校教諭の加藤幹子さん(85)の住宅跡では12日朝、教え子の家族らが訪れて手を合わせていた。

 市内の道路は「通行不可」の立て札がいくつも立てられていて、主要な道路で渋滞が発生するなど、市民生活の混乱は続いている。

 市内の小中学校は予定を前倒しして11日から夏休みに入ったが、セミの声は聞こえるものの夏らしい太陽は見えない。久喜宮小学校で避難生活を送る小学6年の中村翔和君(11)は「お風呂もご飯もあるので困らないけど、雨が降ると怖い。家にはいつ戻れるのかな」と不安そうだった。

最終更新:7/12(水) 15:30
産経新聞