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<九州豪雨>生活再建、いつ 散乱する流木など 大分・日田

7/12(水) 22:09配信

毎日新聞

 九州北部豪雨で被災した大分県日田市では12日、大規模な土砂崩れが川をせき止め「土砂ダム」ができた小野地区と、鶴河内地区の孤立状態が解消した。

 午前10時過ぎ、帰宅する避難者らとともに開通した仮復旧道路を通って孤立化していた地区に入った。地区内には窯元10軒が集まる陶郷、小鹿田(おんた)焼の里がある。久しぶりに通る車を見て、窯元の小袋定雄さん(68)は「これで生活が保障された」と喜んだ。

 集落内には流木が散乱し濁流の跡が残る。孤立化した間、住民は道の泥をかき出したり、炊き出しをしたりと、協力して苦難に立ち向かった。

 窯元の坂本浩二さん(42)は「5年前の九州北部豪雨より被害はひどい。陶土を砕く作陶の生命線である唐臼4基のうち1基が濁流で流出した」と嘆く。小鹿田焼協同組合の坂本工理事長(53)は「問題は今後だ。陶土採掘場も崩れた。復旧に何カ月もかかる」と表情は険しい。

 鶴河内地区の梶原信雄さん(62)はスーパーで食料を買い込み車で帰宅した。これまでは徒歩で避難所と自宅を往復しており「これからは生ものも買って帰れる」と喜んだ。

 「土砂ダム」上流に住む井上博愛さん(66)は、6日に自衛隊ヘリで救出されてから初めて自宅を一目見ようと車を走らせた。至る所に転がる岩。屋根だけ残して潰れた家。自宅に近付くと異様な臭いが鼻をつく。その先には池でコイが折り重なって死んでいた。次の瞬間、見慣れた2階建ての自宅が目に入った。「無事だった……」。裏山から流木が押し寄せていたが、自宅の直前で止まっていた。

 だが、2階の窓から見る景色は一変していた。崩れた山肌。土砂ダムに沈んだ家。住民の姿はみえず、軒下に干されたままの洗濯物が風に揺れる。涙をこらえ、つぶやいた。「この集落に人が戻れる日は、いつやろうか」

 集落への道はつながったが、土砂ダムを迂回(うかい)する仮設道路の完成は早くて19日までかかる見込みで、地域内のインフラなどの復旧はこれからだ。市内の複合文化施設「アオーゼ」では仮復旧道路の開通の知らせに避難住民から歓声が上がった。だが「(帰宅には)軽自動車で車高が高い車で行くように」との市職員の説明に、ため息が漏れた。道路状況などから大きな車が通れないためだが、帰宅を心待ちにしていた井下忠芳さん(66)は「軽自動車は自宅に置いたまま避難した。今日はいけないね……」と肩を落とした。【楢原義則、近松仁太郎、土田暁彦】

最終更新:7/12(水) 22:19
毎日新聞