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九州豪雨 1週間 復旧阻む土砂、流木 再起の柿 深刻 福岡県朝倉市

7/12(水) 7:01配信

日本農業新聞

 九州北部を襲った豪雨の降り始めから12日で1週間。被害の全容が今なお見えない中、福岡県朝倉市の柿に深刻な被害が出たことが分かってきた。同市は全国有数の規模を誇る柿産地。豪雨により、山が崩れ土砂が流入、多くの園地が流失した。近づくことさえできない場所もある。直接の被害を免れた園地でも梅雨時期に欠かせない防除作業ができない。農家は「産地は厳しい状況に置かれている」として、早期の復旧支援を訴える

道寸断 入れぬ重機

 「地区の半分近くが流されたのではないか」。同市杷木地区。60アールで柿を栽培していた日野調栄さん(67)は、自らの園地があったはずの場所を見上げ、途方に暮れる。

 “柿の里”とされる同地区では、あちこちで茶色い山肌がのぞく。日野さんらが手掛けていた園地の多くは、土砂崩れで木が根こそぎ流失した。「整地して植え直し、収穫するまでには何年もかかる」と嘆く。

 園地に続く道は寸断され、被害を免れた場所も防除に使う機械が入れない。そのため、「今後、健全な園地に病害がまん延する恐れもある」と日野さん。同地区では昨年、炭そ病などの影響で収穫量が4割も減っただけに、生産者は今年、再起に懸けていた。

 現場は一刻も早い復旧を求めるが、断たれた道路と積もった土砂が作業を阻む。同地区の武田忠幸さん(58)の園地1.5ヘクタールも半分ほどが消えた。重機を入れることも難しい。大量の土砂などの受け入れ場所も確保の見通しが立たない。

 家屋などの復旧に長い時間がかかる恐れが強い中、武田さんは「われわれは農業が生活の手段。早く元の生活を取り戻せるよう、農業の復旧も急いでほしい」と訴える。地元のJA筑前あさくらによると、管内の柿の生産量は4150トン。甘柿で全国有数の産地が、救いの手を求めている。

被害全容まだ見えず

 被害は柿だけではない。JAの調べで多品目にわたることが明らかになってきた。被害額は把握できているだけでも水稲や、「博多万能ねぎ」などの野菜、花きなどで約7億円に達する。調査は難航しており、特に被害が大きいとみられる柿などの果樹の被害額は含んでいない。今後、さらに膨らむのは確実だ。

 大分県でも農業被害状況の解明が徐々に進むが、がけ崩れや通行止めで立ち入れない土地も多く、被害の全貌は見えない。最も被害が大きい日田市によると、11日午前10時現在で農林水産被害は123件。職員が巡回などで確認した場所と農家から報告を受けた件数をまとめた。水稲や園芸で被害を確認した。

 JAおおいた中西部事業部によると、水田に土砂が流れ込むなどで「確認できた範囲だけでも、被害面積は約70ヘクタールに及ぶ」という。園芸品目ではチンゲンサイやセリ、小菊などで被害を確認。営農職員が総出で生産者のケアと被害状況の確認を急ぐが、全容はまだ分からない。JAは「自宅が被災した生産者は生活再建が第一で、正直、農産物の管理まで手が回らない」と農家の現状を代弁する。(木原涼子、松本大輔)

日本農業新聞

最終更新:7/12(水) 9:40
日本農業新聞