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松本晃カルビー会長×高岡浩三ネスレ日本社長が20代30代に語る(後編)「先の見えない時代の働き方」

7/12(水) 21:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

カルビー会長の松本晃とネスレ日本社長の高岡浩三。日本を代表する経営者による対談の後編では、20代30代に向けて、「何のために働くのか」「先の見えない時代の闘い方」を語ってもらった。

【画像】顧客が喜ぶことがビジネスの基本だという共通の原体験を持つ松本晃カルビー会長(右)と高岡浩三ネスレ日本社長。

高岡:最近、企業では、かつてのビジョンに代わって、一体何のためにその企業が存続しているのか、「パーパス(目的、存在意義)」を考えることが、企業の存続と成長と社会に対する貢献につながるという考えが出てきました。 この考えは、個人にも極めて同様に当てはまるのではないかと思っています。 私は、 社長になるとか部長になるとかではなく、一体社会にどう貢献して働くのかを考えることが、モチベーションを維持するいちばんの源泉ですし、細かい目標設定をするための一つの方法ではないかと考えます。

Business Insider Japan(以下、BI):高岡さん自身の経験でしょうか。

高岡:私はネスレのブランドマーケティングで人を幸せにしたいとか、「ありがとう」と言われたいという思いがずっとありましたが、本当にそれが実感できたのは40代になってから、キットカットの受験生応援キャンペーンなんですよ(*キットカットが九州弁の「きっと勝つとぉ」に発音が似ていることから、受験生の間で「お守り」のような存在として広まり始めていたことを受けて、2003年から「キット、サクラサクよ。」というキーメッセージとともに受験生を応援する活動を全国で展開。この活動は現在まで毎年続いている)。

「世のため人のため」が必要条件

松本:僕は39歳で伊藤忠の子会社の医療機器輸入販売会社に営業本部長として出向しました。高度技術が必要な医療機器を取り扱っていたため、しょっちゅう病院の手術室に詰めていたんです。僕も手術着を着用していたので、手術が終わって手術室から出てくると、患者さんの家族が「ありがとうございました」と心から感謝してくれました。 仕事で人に感謝される喜びを深く実感したのはその時です。それまでは、金儲けにギラギラしてましたが、やっぱり「世のため人のため」が仕事の必要条件で、その結果の十分条件として「儲かる」があるんだということが分かったんですね。それ以降、私は、ずいぶん変わりました。

高岡:松本さんが患者さんから「ありがとう」と言われたのと一緒で、受験生応援キャンペーンで初めて「ありがとう」という手紙がたくさん届いたんです。食品会社は買っていただいたお客様にこちらからお礼を申し上げますが、お礼を言われることは通常ありません。「キットカット」に勇気をもらったとか、多くの手紙をいただいたときに初めて人に喜んでもらえるうれしさを実感して、「ブランドで人を幸せにする」ことを理解しました。ブランドを考えるときに、その商品の属性だけを考えていたらダメだなと。

そもそもブランドマーケティングへの興味からネスレに入社したわけです。きっかけは、大学生だった1980年代前半はルイ・ヴィトンやBMWなど、ラグジュアリーブランドの全盛期で、ブランドで人の気持ちを幸せにできるというところが面白いと思っていました。それが、食品というカテゴリーでも可能だという答えが出たんです。

BI :20代30代でも社会のために、と意識することは大切でしょうか?

松本:そう思いますが、一方で、本当にそのことに気づけるかどうかは、分かりません。最初から押しつけても、実感として本当に分かるかどうかは別でしょう。

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最終更新:7/13(木) 10:31
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