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JAさが職員着服相次ぐ 顧客との親密さ温床に 佐賀

7/12(水) 18:00配信

佐賀新聞

識者「法令順守意識徹底を」

 共済業務を担当した職員が顧客に無断で解約し、1億円超を着服するなど不祥事3件が明らかになったJAさが。JAは農家が出資して設立した協同組合という性格上、他の金融機関と比べて職員と顧客(農家)の親密さが強みになっている。一方で、この関係性が裏目に出て不祥事の温床になったという指摘もある。JAを頼りにしてきた顧客を裏切った形で、再発防止や信頼回復に向けた取り組みが急務になっている。

 JAさがは2007年、佐賀県内の八つのJAが合併して発足した。今回の問題が発表されるまでの10年間の不祥事は15件、被害額は計約2千万円に上る。合併後の5年間に集中し、JAさがの楠泰誠常務理事は「合併後の雑事が続き、不正防止体制がうまく機能しなかったのが原因。13年度以降はチェック体制を確立したため、不正はしにくくなった」と説明する。

甘いチェック

 チェック体制を充実させた半面、不正の手口は巧妙化した。共済を無断で解約したケースでは「所定のチェックをしていたのに見抜けなかった」という。

 JAさがは、JAバンクや全国共済農業協同組合連合会(全共連)のマニュアルに準じて、職員の同一業務の年数制限など不正を防ぐ体制を定めている。しかし、1億円超を着服した職員の場合、同じ地区内の別の支店に異動したことで年数制限をクリア。共済の担当を7年以上続け、対応した顧客の契約をそのまま異動先に持っていっていた。

手続きずさん

 集落営農組織や生産者部会の口座から着服した別の2件の不祥事では、職員と顧客の近しい関係が裏目に出た。JAさがでは通常、職員が農家組織の会計事務などを手伝う場合、事務委託契約を義務づけている。契約を結ぶことで監査が入るからだ。しかし、この2件は契約を結んでおらず、監査が入ることはなかった。楠常務は「農家を手伝いたいという気持ちが先に立ち、面倒な契約手続きを経ずに事務を引き受けたのだろう」と推し量る。

 農業経済学が専門の長崎県立大学の木村務名誉教授(67)=神埼市=は「不祥事を起こした職員だけでなく、全体のコンプライアンス(法令順守)意識が乏しいように思える」と指摘する。不正を長期間見抜けなかったことに対し、「チェック体制の問題もあるだろうが、コンプライアンスが徹底していれば職員相互の監視機能が働き、発覚が早かったはず」と強調する。

 県東部の生産組合長の男性は「昔から農協は同じような不祥事が多すぎる」と渋い顔をする。「共済部門は保険の勧誘など難しい仕事があり、やめる人が多いと聞く。次が育たず、同じ人が同じ役職にとどまるのが原因では」と背景を想像する。その上で「技術だけでなく、倫理観も育てる人材育成に力を入れてもらうのが一番だ」と注文する。

 楠常務は「再発防止策の検討チームを設置し、なるべく早くまとめたい」と話している。

最終更新:7/12(水) 18:06
佐賀新聞

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