ここから本文です

「これ以上は危険です。通せません」異常事態ただ恐怖 動けず避難所で一夜過ごした記者 九州豪雨1週間

7/12(水) 11:14配信

西日本新聞

 大分県日田市にも大きな爪痕を残した九州豪雨から1週間。実は降り始めの5日、本社からの要請で、大きな被害が出ているとみられていた福岡県東峰村に取材に向かっていた。同村と隣接する大鶴地区経由で入ろうとしたが、同地区も激しい雨に見舞われて行く手を阻まれ、引き返すこともできなくなった。「これまでの雨とは桁違い」。不安におびえる住民とともに避難所で眠れぬ夜を過ごした。当時の状況を報告する。

【動画】「天然ダム」決壊のおそれ…小野地区の住民が撮影した凄まじい濁流

 ワイパーで水を切ってもすぐに視界はなくなった。車を激しくたたき続ける雨音が不安をかき立てる。

 同日午後4時すぎ、大鶴地区へ入ると、水路や山から、国道211号に水があふれてきている。「これ以上は危険です。通せません」。JR大鶴駅付近で警官に制止された。日田支局に連絡を入れ、来た道を戻ろうとするが、10分前に難なく通れた道が冠水。すぐ脇の大肥川は茶色い水が暴れるように流れている。「車ごと流されるかもしれない」。無我夢中で来た道を引き返した。

 車を高台に止め、国道211号を歩いて避難所の大明小中学校の体育館へ。道路脇の溝からは水が噴き出し、しぶきを上げて車が走る。シャッターを切る手が震え、ピントが合わない。

 避難所の体育館にたどり着いたのは午後6時前だった。そこには既に着の身着のままで避難してきていた人が40人ほどいた。「家にいたら、あっという間に水に囲まれた」。口々に言っていた。玄関先では弱まる気配のない雨を見上げる人たちが、家族や友人の安否確認をしている。

 「夫と長男が軽トラックで立ち往生しているみたいなんです」。東峰村の女性(47)が市職員に訴えている。同市内の高校に通う息子と、迎えに行っていた夫の乗った軽トラックが水に囲まれたらしい。「軽トラックが流された」という情報も流れ、落ち着かない様子で何度も携帯電話を見る女性。しばらくして、無事に近くの避難所にたどりついたと連絡が入る。「良かった」。女性は胸をなでおろした。

1/2ページ

最終更新:7/13(木) 11:56
西日本新聞