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不祥事続出のアマスポーツ界 「根底には勝利優先」の声

7/13(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 ヤクザ顔負けだ。

 10日に明るみに出た、拓大紅陵高校の硬式野球部員による、売春あっせん事件。事件当時2年生だった部員3人(いずれも現在は自主退学)は、今年1~2月に知人の10代の少女を客に紹介し、た疑いで同日に逮捕された。彼らはツイッターで客を集め、1人当たり3万~6万円の“料金”を設定していたという。

 拓大紅陵といえば、春夏通じて甲子園出場9回を誇る、野球強豪校。92年夏は準優勝、直近では04年春に出場した。そんな野球名門校の部員が売春あっせんとは、まるで暴力団のシノギさながらだ。

 さらに11日には、近大ボクシング部の監督(29)が女子部員にセクハラをしたことが発覚。この監督は12年ロンドン五輪にも出場したボクサーで、現在は自宅待機を命じられているという。

 スポーツライターの谷口源太郎氏は「たまたま同時に出たということではない。いずれも勝利至上主義、成果主義が根底にある」と、こう続ける。

「本来、部活動とは授業では学べないことを学ぶ場所であるはず。それがいまや、勝利しか求められない。現在は子供の数が減少し、生徒数も減っている。そのため、学校の名前を上げて生徒を確保しようという流れがあります。スポーツで名を上げるのが手っ取り早いですからね。学校や指導者たちが率先して、『勝つことだけに集中しろ』と子供たちに教え込むわけです。そうなると出来上がるのは、社会性がないスポーツエリート。そんな彼らが指導者になるのだから、同じことの繰り返しになる。今回の件は氷山の一角です」

■敦賀気比は特待生で学校が荒れた

 今年、日本学生野球協会が6月までに公表した高校・大学野球部の処分は37件。指導者の飲酒運転、窃盗、盗撮、不祥事隠蔽工作に始まり、部員は飲酒、喫煙、リンチなど、まさに不祥事の温床となっているのがよくわかる。

 かつて県外の選手を特待生としてかき集め、甲子園を席巻した敦賀気比(福井)は一時期、彼らによって学校自体が荒れたという。林博美元監督は以前、日刊ゲンダイの取材にこう話していた。

「スポーツで入学してくる生徒の中には『オレは招かれたから来てやっているんだ』という意識が強い、荒くれ者が多かった。彼らが先生の言うことを聞かず、授業にならないこともあって、学内での評判がどんどん悪くなった。だから、スポーツ科を廃止したんです」

 前出の谷口氏は「文科省は部活の顧問をする先生が足りないからと、今後は外部から専門家を呼ぼうという流れになっている」と言う。

 これ以上、勝利至上主義の指導者が増えれば、スポーツそのものが害悪になりかねない。