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指導者経験乏しい稲葉氏が有力…侍J次期監督“就任レース”に何が起こったのか

7/13(木) 16:56配信

夕刊フジ

 2020年東京五輪で金メダルを狙う侍ジャパンの次期監督に、3月のワールド・ベースボールクラシック(WBC)第4回大会で日本代表打撃コーチを務めた稲葉篤紀氏(44)が有力となっている。前巨人監督の原辰徳氏(58)が本命、前横浜DeNA監督の中畑清氏(63)が対抗とみられていた就任レースに何が起こったのか。また、指導者経験が乏しく“小粒”感も否めない稲葉氏で悲願の金メダルを獲得できるのか。

 「具体的な名前をあげたり、途中経過を話す段階ではない」

 新監督人事を一任されているプロ・アマ合同の野球協議会侍ジャパン強化委員会・井原敦委員長(日本野球機構事務局長)は“稲葉監督”が決定したかのような報道にクギを刺した。新監督人事を今月末に決定、発表する段取りは変わらないとも強調した。

 もともと、侍ジャパンの選手、スタッフら現場サイドで“稲葉監督待望論”が湧き上がっていることは、夕刊フジも日本がWBC第4回大会準決勝・米国戦で敗退した直後の3月23日発行紙面で既に報じている。

 WBCで小久保裕紀前監督のもとで打撃コーチを務めていた稲葉氏の“内部昇格”となれば、これまでの路線をスンナリと継承できる利点はある。年齢的にも選手たちに近く、兄貴分としてコミュニケーションを取りやすい。

 同じ愛知県出身で1歳下の米大リーグ・マーリンズのイチロー外野手が「僕と違って、人徳がある」と評した人柄も折り紙つきだ。

 さわやかなイメージで、これといったスキャンダルもない。過去に離婚歴はあるが、2012年11月に札幌在住で元モデルの怜奈さんと結婚し子供ももうけた。

 侍ジャパン強化委員会がヒアリングを行った、過去の日本代表監督経験者の間に「そろそろ侍ジャパンの指揮官も世代交代すべきだ」という意見があったのも事実だ。

 しかし、である。自国開催の五輪で金メダル獲得を義務づけられる2020年の侍ジャパン監督には、想像を絶する重圧がかかる。プロ球団での監督経験がないばかりか、指導経験そのものが極めて乏しい稲葉氏で乗り切れるのか。大いに疑問が残る。

 監督経験なしで就任した小久保前監督は、結局“世界一”の座奪回を逃しており、同じ愚を繰り返すのかという批判の声も上がりそうだ。

 一方、経験豊富な候補者は他にたくさんいる。トップバッターは原氏。巨人監督としてリーグ優勝7回、日本一3回。日本代表監督としても2009年WBC第2回大会を制した。

 もっとも、原氏周辺では「絶対に東京五輪日本代表監督はやらない」と断言しているという情報と、「東京五輪監督だけなら引き受けてもいいが、翌21年のWBC監督はやらないというのが真意だ」というものが入り乱れていた。

 侍ジャパン強化委員会が「東京五輪の金メダル獲得が最大の目標。翌年のWBCは就任する監督の考え方次第」と両者の“分離”を容認したのも、原氏の意向をくんだものともっぱらみられていた。

 既に功成り名を遂げた原氏が、今さら日本代表を率いるリスクに尻込みした可能性はある。

 原氏に次ぐ有力候補として、04年のアテネ五輪本戦で病に倒れた長嶋茂雄監督に代わって指揮を執り、銅メダルを獲得している中畑清前DeNA監督もいる。ソフトバンク監督としてリーグ優勝3回、日本一2回の秋山幸二氏(55)の評価も高い。

 井原強化委員長は「同時に複数の人と交渉するわけにはいかない。そろって“ノー”と言われたり“イエス”と言われたりすることがあるからだ」と明言しているだけに、現時点で稲葉氏が筆頭候補だとすれば、実績のある有力候補トリオが相次いで辞退したということなのだろうか。とすれば、一大事だ。

 熊崎勝彦コミッショナーは「WBCがプロ野球ファンが関心を寄せる国際大会なら、五輪は野球に全く興味のない人でも金メダル獲得を期待する国民的なイベントだ」と強調している。

 同時に、侍ジャパンを支援するスポンサー各社も、現役時代からスター、指導者としても実績のある原氏、中畑氏を差し置いて、“小粒”感を拭えない稲葉氏の就任となれば、がっかりだろう。日本野球機構(NPB)が収益源ともくろむ侍ジャパン事業もお先真っ暗になってしまう。

 新監督のデビュー戦は決まっている。11月16日から19日まで東京ドームで初開催される日本・韓国・台湾プロ野球代表によるU-24の「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」だ。果たして新監督としてグラウンドに立つのは誰なのか。

最終更新:7/13(木) 18:00
夕刊フジ