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このメガネ似合ってる? AIが判定するサービスとは

7/13(木) 11:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 人工知能(AI)が眼鏡の“お似合い度”を教えてくれる――。眼鏡ブランド「JINS」を展開するジンズが提供しているサービス「JINS BRAIN(ジンズ・ブレイン)」だ。インターネット上の試着サービスとして提供することに加え、店舗の接客ツールとしても活用を始めている。「似合う眼鏡が分からない」という悩みに対応し、満足度を高める役割を担う。

【「JINS BRAIN」で眼鏡を試着してお似合い度を出した】

●スタッフ3000人の知見を学習

 JINS BRAINのサービスは、2016年11月に開始。ネット通販を利用する際に眼鏡をバーチャルで試着したい、という要望に応えるほか、似合っているか判定したい、というニーズに対応することが狙いだ。お似合い度を判定する機能は実店舗でも活用できるため、オンラインショップと実店舗の両方でサービスを提供している。

 店舗で接客しているスタッフ約3000人によって、眼鏡をかけた人の画像約6万枚を評価。そのデータを機械学習したAIが、眼鏡を試着した人の写真を判定し、お似合い度のスコアを算出する。店舗スタッフの知見とセンスが集約されたAIだ。

 男性と女性で感性が異なることから、スタッフの評価データを性別で分け、男女別のAIを用意した。「異性からどう見られるか」を気にするという意見があったからだ。「将来的にはスタッフ以外の評価データも集めて、例えば『面接官』や『女子大生』などに“受ける”眼鏡をおすすめすることも想定している」と、同社デジタルコミュニケーション室マネジャーの向殿文雄氏は話す。

●Webで簡単に試着

 実際にPCでJINS BRAINを使ってみると、眼鏡のバーチャル試着が簡単にできた。Webカメラで顔写真を撮影し(顔写真データのアップロードも可能)、眼鏡の形や色を選ぶと、顔の上にフレームが表示される。それをAIが判定し、パーセンテージでお似合い度が出てくる。無難なフレームだけでなく、普段は選ばないような形や色も気軽に試し、「こんな形のフレームが似合うのか」といった発見もあった。お試し感覚で楽しく利用できる。

 以前にも、眼鏡のバーチャル試着サービスはあった。16年3月から提供している「JINS VIRTUAL-FIT(バーチャルフィット)」だ。しかし、アプリをインストールして、自分の顔の動画を撮影する必要があり、手間と時間がかかる。JINS BRAINではその反省も生かした。「Webブラウザ上で、複雑な説明を読む必要もなく、さくさくと使える」(向殿氏)という操作性を実現した。

●接客ツールとして活用

 ネット通販だけでなく、実店舗でも活用が進んでいる。店舗では、商品を実際に試着して写真を撮影し、その場でタブレット端末を使ってお似合い度を判定する。接客を補助するツールとして取り入れた。

 どのフレームにしたらいいのか迷っている来店客に対して、お似合い度の比較を提案したり、まだ十分なスキルがない新人スタッフが接客の補助に使ったりと、客のニーズやスタッフの技量に応じた使い方をしている。スタッフからは「接客トークのきっかけになる」「最後のひと押しに効果がある」という声もあるそうだ。

 「人からの『お似合いですね』という評価は曖昧だが、AIは感情が入らず、数字で示す」(向殿氏)。客にとってもスタッフにとっても、AIによるハッキリとした判定が新たな気付きや学びとなる可能性もある。

 今後の展開に向けて、課題も残っている。現在のサービスでは、JINS BRAINのWebサイトから眼鏡を試着して、オンラインショップの購入ページに進むという流れになり、逆の流れで利用することはできない。つまり、オンラインショップの商品ページからJINS BRAINのサイトに行くことができないのだ。主に、最初からJINS BRAINを利用するつもりでWebサイトを訪れた人向けのサービスになっている。「2017年内には、その問題を解消し、購入の導線上にJINS BRAINを組み込む」(向殿氏)計画だ。それが実現すれば、オンラインショップにおける購入者のJINS BRAIN利用率は、現在の数%から「2~3割になるのでは」(同)と見ている。

 AIの精度もさらに高める。現在は約6万件のデータを学習しているが、「もっと数が必要」(向殿氏)。人によって意見が分かれる傾向がある眼鏡の評価データも増やし、10万件程度加える作業をしているという。

 「AIの話題性を打ち出すのではなく、意識せずに自然と使ってもらえるような“普通”のサービスにしていきたい」と向殿氏は話す。「AIは特別」という意識はやがてなくなり、サービスを提供する側も受ける側も、ツールとして使いこなすようになるだろう。その変化に柔軟に対応していくことが求められそうだ。