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<関経連>万博協力で容積率を緩和検討 費用負担企業を優遇

7/13(木) 9:30配信

毎日新聞

 関西経済連合会は、国際博覧会(万博)の2025年大阪誘致が実現した場合の会場建設費を集める方法として、費用負担に応じた企業に対し、大阪市中心部などに所有する建築物の容積率を緩和する優遇措置の検討を始めた。高さ制限の緩和にもつながり、企業側は建て替えの際の自由度が増すメリットがある。対象地区を特区に指定するなど規制緩和が必要なため、関経連は今後、政府や大阪府・市と協議する。

 関経連の松本正義会長が12日までの毎日新聞のインタビューで明らかにした。

 関経連は、対象地区をJR大阪駅周辺などと想定。建物の敷地面積に対する延べ床面積の割合を示す容積率は建築基準法に基づき、大阪市内であれば市が決定する。大阪駅周辺では容積率は4~10倍に制限された地域が多い。

 関経連が参考にしているのは、JR東日本が12年に実現した東京駅丸の内駅舎の復元だ。東京都が国の制度を活用して、駅周辺の約1平方キロを特例容積率適用地区に指定。駅舎の容積率を上限より低く抑えることで、建物上空に余剰の床面積の権利(空中権)を生み出して周辺のビルを所有する企業に売却、約500億円を得て、駅舎の改修費を賄った。一方、購入した企業は既存の容積率を超えるビルを新たに建築した。

 関経連は、大阪市沖の人工島・夢洲(ゆめしま)の万博候補地などの上空に空中権を設定する方向で検討している。だが、夢洲と大阪市中心部は約10キロ離れ、実現には特区の指定が必要になるとみられる。

 万博の会場建設費は約1250億円と見込まれ、政府と大阪府・市、財界で3等分して負担。財界の負担は400億円超となる。【宇都宮裕一】

 ◇知恵絞り、ひねり出した策 実現には課題が多く

 関西経済連合会が、万博会場建設費を捻出するため大阪市中心部などで建築物の容積率を緩める優遇措置の検討を始めたのは、企業からの寄付だけで資金を集めるのは難しいと見ているからだ。関西財界が知恵を絞り、ひねり出した策と言えるが、実現には課題が多い。

 万博の会場建設費約1250億円。政府と大阪府・市、財界で3等分し、財界負担は400億円超の見通しだ。だが、株主による経営監視が強まる中、企業からの寄付に頼る従来の方式が通用しなくなっている。「関西財界が寄付名目で集められるのは50億円が関の山だ」(関西財界幹部)との懸念は強い。愛知万博(2005年)では経済界からの寄付金だけで足りず、競輪や競艇の収益を得て埋め合わせた。

 「資金を集めるための良いアイデアは、なかなかない」(松本正義・関経連会長)という中で、今回の優遇措置は「数少ない有望案」(別の関西財界幹部)と見られる。

 しかし、万博会場候補地の夢洲(ゆめしま)から約10キロ離れた大阪市中心部など需要のある地域で容積率を緩和する仕組みは全国的にも前例がない。さらに、関西財界の中には「住民にはメリットがなく、(日照権などの問題で)反対が起きかねない」と指摘する意見もある。

 課題山積の構想が有望案とされること自体、経済界から400億円超を集めるのがいかに難しいかを物語っている。【宇都宮裕一】

最終更新:7/13(木) 9:30
毎日新聞