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<南北線開業30周年>保線職員 真夜中の仕事人

7/16(日) 10:30配信

河北新報

 暗闇に火花が飛び散り、トンネル内を鉄粉が舞う。午前1時20分、南北線広瀬通-仙台間。地下20メートルで重機がうなり、レールの金属疲労層を削り取っていた。

 市交通局施設課の渡辺明宣(あきのり)さん(57)がレールをのぞき込み、相棒の角張(かくばり)貴彦さん(42)が発光ダイオード(LED)ライトで照らす。レールを指先でなぞった渡辺さんは「削りが甘い。細かい傷が取れてない」。重機が7往復して表面が滑らかになった。

 平日の最終と始発の間の午前1~4時、職員15人が交代で現場に出て、発注先の社員と保線作業を行う。レールの削りや位置の調整、交換が主な仕事だ。

 渡辺さんは開業以来30年間、南北線のレールと向き合ってきた。「夜中にこういう作業をやっているのを乗っている人は知らないだろうね」と笑う。「レールは列車の通過でわずかに沈み込み、横にずれる。放っておくと脱線する。保線の仕事は奥が深い」と角張さんが続ける。

 カーブは摩耗が激しい。内側のレールは車両の重量を受け、波のような図柄が現れる。微細な段差が揺れの元。つり革につかまる必要がないほど揺れを抑えるのが目標だ。

 車輪とレールの摩擦音は「ゴー、コー」が良く、「キー、ギー」は駄目。未明の削り方次第で乗り心地が変わる。日頃の手間を惜しまなければカーブは20年、直線なら60年もつという。

 南北線の大部分のレールは開業当初からのものだ。その当時から保線を担う職員は、今や渡辺さんのみ。若手には「現場を見なければ何も始まらない」と言い続けている。

 東西線を含め、1日約23万人の乗客がレール上を通り過ぎる。市民の足を守るため、真夜中のトンネルで試行錯誤を続ける。

最終更新:7/16(日) 10:30
河北新報