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「人口減少」が続くが、解決策はあるのか

7/13(木) 8:18配信

ITmedia ビジネスオンライン

 2017年7月5日、総務省統計局は住民基本台帳を基に集計した17年1月1日時点の人口動態調査を発表した。

【総人口の推移】

 この最新の調査によれば、日本の総人口は1億2558万3658人で、8年連続の減少。この数は前年から30万人以上も減っており、1968年に調査が開始されてから最大の減少幅になったという。さらに少子化も相変わらずで、出生数は98万1202人と過去最少を記録した。

 もっとも、人口減少は今さら驚くことではない。人口減少の問題は何十年も議論されてきているが、有効な手立てを打てておらず、結局、今後もどんどん減っていく一方になると見られている。

 人口が減ること自体は悪いことだとは言い切れないが、日本のように少子高齢化が進むケースでは、少なくとも経済が縮小するのは避けられない。なぜなら労働人口がどんどん減っていくからだ。

 ただ今こそ、考え方を変える必要がある。さまざまな分野について外国人と話をすると、日本のテクノロジー分野の素晴らしさを述べる人は多い。テクノロジーが日進月歩で進む現代、インフラが世界のどこよりも充実している恵まれた環境の日本は、世界的にもテクノロジー分野を先導できるポテンシャルをもつ。ならばそこにチカラを入れて、日本だからこそできる人口減少対策があるのではないか――そんな可能性を探ってみたい。

●将来、移民の争奪戦が起きるかもしれない

 そもそも将来的に、日本の人口はどれほど減っていくのか。国立社会保障・人口問題研究所が2017年4月に発表した推計によれば、日本の人口は2040年に1億1092万人となり、2053年にはついに1億人を割って、9924万人になる。そして2065年には8808万人になるという。

 もちろん日本は、人口問題研究所のこの調査よりずっと以前から、人口減の懸念を前にしてこれまでいろいろと対策を議論してきた。その一例として今もよく聞かれるのは移民政策だ。人口が減った分、外国から人を連れて来たらいいのではないかという賛否が分かれる対策だ。

 ただ外国人労働者の数はすでに徐々に増えている。厚生労働省が2017年1月に発表した外国人雇用状況を見ると、2016年10月の時点で届け出のあった数だけで108万3769人。この数は史上最も多い数で、その背景には留学生の就職支援などがある。ただ移民については、反対意見も根強く、一筋縄ではいかない対策だということに加え、将来的にはアジア諸国でも人口減が起きるために移民の争奪戦というような状況になるとの見方もある。

 それ以外では、出生率を上げるべきだという対策もよく耳にする。例えば、子どもを産んだ女性に年金を上乗せするといった現金給付のアイデアもあるようだが、ともすればカネで子どもを産ませようという対策にも受け取られるため、批判が出る可能性もある。

 また人工中絶を減らすことで出生率を上げられるとの指摘もある。現在、中絶を減らすべく、いくつかの対策が議論されている。例えば養子縁組。2016年12月に特別養子縁組あっせん法が成立し、養子縁組のあっせんに補助金を出したり、あっせん業社についても、これまでのトラブルが報告されていた申請制から、許可制に変わった。2017年5月には、「赤ちゃんポスト」の開設から10年が経ったが、これまで10年で130人の子どもが預けられ、半数ほどが養子縁組されているという。

●人口減対策に「テクノロジー」のチカラを

 こうした対策はすでに始まっているが、ゲームチェンジャーとなるような成果を出しているとは言い難い。そこで日本が得意なテクノロジーによる人口減対策に、国を挙げて取り組むべきではないだろうかと思う。政府が長期的なビジョンとして、人口問題対策としてテクノロジーの活用を国策にするのだ。

 すでに述べた通り、少子化で人口が減少することで大きな問題になるのは、高齢化が進むことで労働人口が減り、経済が縮小していくことだ。これまでいろいろな対策が議論されても、結局、人口減はなかなか食い止められない。だが、テクノロジーの進化で今、世界的に話題になっているAI(人工知能)やオートメーション(自動化)などをどんどん普及させれば、減った人口分を補っていける可能性があるのではないだろうか。

 今、さまざまな分野でオートメーションが進んでいる。自動運転や銀行自動支払い、ドローンによる宅配、スーパーのレジなどのオートメーションが近年では話題になっている。

 また、AIの利用がどんどん広がっていくはずだ。米IBMが開発した有名なAIのワトソンは米国のガン専門病院に導入されて医師の診断を手助けしていたり、天気予報などにも活用が進められている。またAIで犯罪予測やビジネス予測なども行われ始めている。米ロサンゼルス・タイムズ紙では地震などの速報ニュースをAI記者「クエークボット」が自動に書いて配信している。

 特にサービス業では、今後ますますオートメーションやAIを活用した手法が広がるだろう。そうなると当然のことながら、人は今以上に少なくて済む。もちろん人間しかできない仕事はなくならないし、人が全くいらなくなるわけではないが、適材適所で配置すればいい。

●中長期的に国が方針を示さければいけない

 そうすれば、人口が減っても、他国の追随を許さないようなテクノロジーを開発することで、その穴埋めをすることができるようになる。そこで重要になるのは、こうした国としての大きな課題に、国策として政府が大きなイニシアティブを発揮し、十分な予算をつけるなどして対策に乗り出せるかどうかだ。もちろん政府にすべて頼ってしまうのではなく、日本国内でビジネスを成功させている企業などが基金を作るなどして、官民で取り組むこともできる。

 そもそも公共のインフラなどを活用してビジネス業界で成功している企業などは、国民がみんなで作り上げてきた電力や道路、インターネットなどのインフラがあってこそカネを稼げているのだという事実を今一度認識して、社会に還元していくべきである。海外のIT長者など起業家たちは、税金対策もさることながら、そういう還元の意識で基金を設立したりしている。

 とにかく、まずは国がそうした対策をはっきりと分かりやすく、大々的に国策として打ち出さなければいけない。そろそろ人口減に直面している私たちがどこに向かうべきかの、中長期的な国の指針を示す必要があるのではないだろうか。

(山田敏弘)