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おにぎり作りたくて、野球部マネジャーに スコアと格闘

7/13(木) 13:32配信

朝日新聞デジタル

 「おにぎり作りに引かれたから」。それが東岡山工3年の山本未来さんが野球部のマネジャーになった理由だ。小柄だが、両腕にいくつもの給水タンクをぶら下げ、グラウンドを駆け回る。藤原洋造監督が「チームで一番頭の回転が速い」と言うしっかり者だ。

 今ではチームのみんなから頼りにされているが、中学ではソフトテニス部に所属。テレビでプロ野球の試合を見たことはなかった。

 「野球に興味なかった。高校に入ったらアルバイトしようと思ってました」

 高校に入学し、グラウンドである光景を見た。野球部のマネジャーがグラウンドの隅でおにぎりを握っていたのだ。「いいな。自分も作りたい」。それが野球との出会いだった。

 当時、料理にはまっていた。友人の誕生日にケーキを焼いたり、休日には家族に夕ご飯を作ったり。特におにぎりはきれいな三角形にするのが楽しくてよく作っていた。おにぎり作りが思う存分できると、野球部のマネジャーになることを決めた。友人たちは「なんで?」と驚いた。

 「野球のルールとかスコアの書き方とか複雑で覚えるのが大変でした。おにぎりを作りたいだけなのに、『なんで入ったんだろう』って思いました。めっちゃ辞めたいと思いました。でも負けず嫌いなんで」

 マネジャーの先輩や選手にルールを教えてもらい、家に帰ればネットで野球のことを調べた。聞いたことや調べたことはメモ帳に書き、読み返しながらスコアを書いた。

 スコアを書けるようになった今も、ルールなどを忘れないように、家に帰れば野球のことを調べている。選手はもちろん、ほかのマネジャーも野球経験者。

 「私だけが野球を知らない。だから家でも勉強します。誰にも負けないマネジャーになりたい」

 肝心のおにぎりは、一度に80個以上作ったこともある。30合ほどの米を研ぐのが大変だったが、焼き肉のタレをかけたおにぎりなどを、選手たちは「おいしい」とほお張った。中には2個も食べてくれる部員もいて、うれしかった。

 今では野球も「面白い」と感じるようになった。

 「部員が点を取って喜ぶ姿を見るとうれしい。逆転すれば興奮します。見ていると自分もしたくなる。遊撃手をやってみたいです」

 おにぎりが縁で野球と出会い、スコアと格闘した高校生活。その集大成となる夏の大会はあす開幕する。

 「野球の知識がなくて仕事ができなかった時、『自分は必要ないんじゃないか』と思ったこともありました。でも選手たちが『必要じゃけ』と言ってくれて続けられた。少しでも長くみんなと一緒にいたい。夏が楽しみです」(本間ほのみ)

朝日新聞社