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隻腕アボットをほうふつ 捕球も投球も左手の投手が登板

7/13(木) 17:56配信

朝日新聞デジタル

(13日、高校野球神奈川大会 神奈川工8―0二宮)

 神奈川大会1回戦で13日、かつて大リーグのエンゼルスなどで活躍した隻腕投手ジム・アボットをほうふつとさせる左腕投手が登板した。二宮の三浦寛弘選手(3年)。生まれつき右手首から先がほとんど動かない。左投げ左打ちだが、グラブをはめるのも左手だ。投げる時はグラブを右手に抱え、投げるとすぐ左手にはめる。ボールを捕ると再び素早くグラブを右腕で抱え、左手でボールを取り出して投げる。

【写真】左手で投球後、左手にはめたグラブでバント処理する三浦寛弘選手

 背番号「7」で控え投手。普段は試合中盤でのリリーフが多い。この日の神奈川工戦では、二回2死一、三塁のピンチで左翼からマウンドに向かった。「しっかり抑える」と言い聞かせたが、準備不足で不安もよぎった。力のある直球やカーブを投げ込んだが、制球が定まらない。押し出しを含む4四球などで、三回途中に再び左翼へ戻った。「チームに迷惑をかけ悔しい」と唇をかんだ。

 小学4年で野球を始めた。右手でボールがうまく捕れず、少年野球のコーチの指導でグラブを持ち替える技術を身につけた。この日も、三塁寄りへの送りバントに反応して、素早く一塁に送球して処理した。

 チームの盛り上げ役で、試合中はベンチから「ここから」と大きな声を出した。しかし、試合は0―8で敗れた。卒業後は理学療法士をめざして専門学校に進む予定だ。「自分も中学時代にけがが多かったので、けがをした選手をケアしてグラウンドに戻してあげたい」と力強く話した。(遠藤雄二)

朝日新聞社