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イスラム教徒への差別続く=観光客は回復―仏ニーステロ1年

7/13(木) 14:23配信

時事通信

 【パリ時事】86人が犠牲となったフランス南部ニースのトラック突入テロは14日で発生から1年。

 イスラム過激思想に染まった男の犯行だったことから、現地ではイスラム教徒が今も差別に苦しみながら生活している。一方、事件直後に急減した観光客数は回復に転じ、夏のバカンスを前に関連業者は期待を膨らませる。

 「ほとんど出かけないし、帰宅も早くなった。周りの視線をいつも警戒している」。ニース在住の女性でイスラム教徒のシェルクアイさんは地元メディアに重い口を開いた。事件翌日に犠牲者を追悼するため現場を訪れたところ、人々から「お前たちのせいで事件が起きた」と心無い言葉を浴びせられた。1年後の今も、行政手続きを郵送で済ませるなどして極力外出を控える日々だ。

 犠牲者の3分の1はイスラム教徒が占め、親族を失ったイスラム教徒は多い。60歳の母を亡くしたイスラム教徒の男性は嫌がらせに直面する現状を「テロリストと混同され、後ろ指をさされる。二重の打撃だ」と表現した。

 ニースでは、モスク(イスラム礼拝所)の拡張工事にタカ派の市長が反対し、6月にイスラム系住民が抗議活動を繰り広げる騒動も起きた。

 事件直後の昨年7~8月は観光客数が前年同期比1割減となり、バカンスシーズンの減収は観光業に大きな打撃となった。しかし、地元業者は事件直後から政府に働きかけ、計200万ユーロ(約2億6000万円)の補助金を獲得。航空会社とも協力して近隣諸国で大規模な広報キャンペーンを展開し、好天に恵まれた今年4月には例年以上の来訪者数を実現した。7月のホテル予約は前年並みに戻り、8月は5%増という。

 ニース観光局の担当者は「ニースを訪れる観光客の半数以上は外国人で、世界的に報道されたテロの影響は大きかった。回復が順調に続くことを期待したい」と話した。 

最終更新:7/13(木) 15:32
時事通信