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九州豪雨 日田梨 初出荷に暗雲 立ち入れぬ園地も 大分県

7/13(木) 7:01配信

日本農業新聞

 輸出にも乗り出していた大分県日田市の梨の主力産地が豪雨被害に頭を抱えている。今月末に出荷が始まるはずだった一部園地は土砂が道をふさぎ、立ち入ることも難しい。「生活に必要な雨が、今は憎い」。豪雨から7日たっても被害全容の把握さえままならない。JA職員は影響の長期化に焦りを募らせている。

組合員 散り散り

 JAおおいた日田梨部会に所属する小野梨組合は、月末から梨「幸水」などを出荷する予定だったが、豪雨で様相は一変した。

 組合長の森口嗣男さん(56)は、小野地区にある自分の園地を見に行くことさえできずに1週間を過ごした。組合は土砂の崩落現場に近い集落にある。16人の組合員は避難所に身を寄せているが、避難先が別々で、顔を合わせて現状を確認することも難しい。

 部会を支える主力の地区が壊滅的な被害を受け、「組合の生産量500トンが半減するかもしれない」と、森口組合長の見立ては深刻だ。

 この時期に実施する病害虫防除もできないまま。周囲は鹿やイノシシが出没しやすい場所だが、土砂で防護柵も崩壊しており、園地の荒廃を心配する。

 農機や農薬、資材は全て流されてしまった。「土砂をかき出すにも人手がいる。果樹は1年1作だけん、高齢化も進む山の中で、梨栽培を諦め離農してしまう人もいるのではないか」と森口組合長は心配する。「再建となれば、一から全てそろえないといけない。資金面での支援策を検討してほしい」と願う。

生産減の恐れ

 日田梨部会には七つの支局がある。JAはこのうち小野梨組合を含めた2支局で、被害を確認した。同市の竜体山地区では、のり面の崩壊や土砂が隣の園地に流入したなどの被害が出た。土砂が枝や葉、実を覆ってしまっている場所もある。

 園地に続く農道が土砂に覆われた場所や、土が削られ根が丸見えになった木もある。苗の育成施設も土砂に埋もれ、3年かけて育てた約300本(約250万円分)の苗木も失った。

 部会全体の出荷量は約3000トン。貯蔵による長期出荷や台湾への輸出も手掛ける。安倍晋三首相が2013年の環太平洋連携協定(TPP)参加表明の際、強い日本農業の優良事例として引き合いに出したほどの産地だ。

 JA中西部事業部の園芸2課の河津建夫課長は「2012年の北部豪雨でも園地に行けないことはなかった」と、被害の大きさを強調する。

 JAは、水稲やチンゲンサイなどでも被害を確認。特に被害の大きい大鶴地区では、川沿いのハウスと畑が土砂に埋まったまま。用水路も埋まり、無事だった田畑に水を与えられない可能性もあるが、人命と生活再建が第一で、農業まで手が回らない状況だ。

 河津課長は「生き残ったサトイモにそっと土をかぶせるばあちゃんや、今日で見納めじゃと畑に向かった組合員を見ると、悔しかった」と言葉を詰まらせた。JAとして、今後の支援策を模索している。(木原涼子)

日本農業新聞

最終更新:7/13(木) 7:01
日本農業新聞