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「僕が戻ってこなくても悲しまないで」  潜水事故の職員、母に残した言葉 沖縄科学技術大学院大学

7/13(木) 22:00配信

沖縄タイムス

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の男性職員が潜水作業中に行方不明になった事故で、検討委員会がまとめた報告書では、計画準備段階から実際の潜水作業に至るまで、安全管理が抜け落ちていたことが明らかになった。

 報告書によると、亡くなった男性は実家に帰省した際、母親に「僕が海から戻ってこなくても悲しまないで」「何度か危険な目にも遭った」などと話しており、「深度潜水に対して危機意識を有していたと思われる」とした。

 水深63メートルで行われた今回の作業。使用された特殊な潜水機材「リブリーザー」は、男性職員が使用方法に未熟であることなどを理由に不適と指摘。事前の海底調査や潜水開始時の海流調査も実施していなかった。

 潜水時、世界標準となっている2人一組の「バディシステム」の徹底にも不備があった。同大の野外活動マニュアルには潜水の際「必ずバディで潜る」とある。作業員らも内容を把握していたが、実際は海中で相手を見失ったり、1人を海底に残したまま浮上したりするなどバディシステムが機能していなかった。

 船上の責任者が不在で、緊急用のロープも30メートルしかないなど、トラブルが生じた際のリスク評価もなされていなかった。

 組織運営の不備に関する指摘も並んだ。学内で安全管理を担う「安全衛生セクション」はあったが、それぞれのユニットで行われる研究の専門知識を網羅しておらず、危険性を助言することに限界があったとした。

 また、潜水作業を担う職員に半年内に1回の受診が義務付けられている健康診断については、部署の責任者や各部門の長が職員の健康状態を直接把握する仕組みになっていなかったと指摘。メアリー・コリンズ研究担当副学長は12日の会見で「ダイバーに対して受診を促したが、実際に受けたかどうかは確認していなかった。現在は確認できるシステムになっている」と改善点を示した。

最終更新:7/14(金) 15:05
沖縄タイムス