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車いすでも海辺まで=砂浜に80メートルのマット―協力資金集め実現・神戸

7/14(金) 5:21配信

時事通信

 神戸市須磨区の須磨海岸に、車いすでも砂浜を移動できる米国製「ビーチマット」を敷き、足の不自由な人にも波打ち際まで近づいて海を楽しんでもらう取り組みが15日から始まる。

 海水浴シーズンの毎週土曜日に設置される予定だ。

 海岸のバリアフリー化に取り組むのは、自らも車いすを使用する神戸市北区の木戸俊介さん(31)らで組織する「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」。

 木戸さんは2015年4月に交通事故で下半身不随となった。それまでの何気ない日常が、ほぼ全て「当たり前」でなくなった。「退院後に眺めた海もそうだった」と振り返り、波打ち際まで続く浜辺は、車いすの車輪にとっては「壁」同然と感じたという。

 きっかけは、16年にリハビリで訪れたオーストラリアのゴールドコーストでの経験。遠くから波の音を聞いていると、ある男性に声を掛けられた。導かれた場所へ着くと、青い一本の道が海辺へと続いていた。「車いすでも行ける。諦めていたことができた感動は忘れない」と語る。

 帰国後、子供のころに通った須磨海岸に導入しようと計画。マットの購入・輸入資金を賄うため、インターネットで協力を募るクラウドファンディングを活用した。当初は難航したが、海の家の経営者や商店街など地元の人にも説明して歩くと、目標額の130万円に到達した。

 マットの長さは約80メートル。ただ、設置前に毎回、砂浜を平らに整地するなどの準備と、撤収作業で計1、2時間が必要だ。常設が理想で、行政などにも協力を求める方針だ。

 「できる、できないではなく、やるか、やらないか」。筑波大蹴球部時代に出会った言葉が、木戸さんを突き動かす。「須磨のビーチから障害者と社会の環境を変えたい。障害者の心にある『諦める』気持ちと、健常者との間にある『意識のずれ』という二つのバリアーを破りたい」と願っている。 

最終更新:7/14(金) 10:21
時事通信