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風力で作るCO2フリー水素チェーン、大型実証が本格始動

7/14(金) 7:10配信

スマートジャパン

 風力発電を活用したCO2フリーな水素サプライチェーンの構築を目指す実証が、神奈川県で本格的にスタートした。神奈川県、横浜市、川崎市と、トヨタ自動車、岩谷産業、東芝、豊田自動織機、トヨタタービンアンドシステム、日本環境技研が、環境省委託事業「平成27年度 地域連携・低炭素水素技術実証事業」として行うもので、CO2フリー水素の利用によるコストの試算やCO2削減効果を検証していく。

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 実証では横浜市の沿岸部にある「横浜市風力発電所(通称:ハマウィング)」の敷地内に、水を電気分解して水素を製造する装置と、水素の貯蔵システムを設置する。貯蔵した水素は圧縮装置を利用して専用車両に充填(じゅうてん)し、京浜臨海部の市場や倉庫に運搬して、燃料電池フォークリフトの燃料として使用する。

 ハマウィングは、住民や協賛企業の出資によって設立された風力発電所で、2007年3月から稼働を開始している。Vestas社製の高さ78メートル、定格出力1980kW(キロワット)の風車を利用していて、設備稼働率は12.4%、年間発電量は約210万kWh(キロワット時)を見込んでいる。

 風力発電の発電量は天候によって大きく変動する。そこで電力が少ない場合には、蓄電池から各設備に電力供給し、安定して水素を製造・供給できる体制を整えた。ハマウィングの発電量が多い時は蓄電池に充電を行い、発電量が少ない時には蓄電した電力を水電解装置や水素圧縮機に放電する。

 なお、蓄電地はハイブリッド車の使用済みバッテリーを活用している。ニッケル水素電池を180個組み合わせており、150kWh(キロワット時)の蓄電能力がある。

12台の燃料電池フォークリフトで活用

 風力発電の電力で製造した水素は、燃料電池フォークリフト専用の水素充填車2台で運搬する。フォークリフトの使用条件を考慮し、使用場所に充填車が近接する必要があるなどの理由から、小型の専用車両の投入を決めた。

 燃料電池フォークリフトは卸売市場や物流倉庫など4拠点に計12台を導入した。使用条件の異なる4拠点で運用を行い、燃料電池フォークリフトの使い勝手や水素の消費量、CO2削減量などを検証していく。

 水素充填車2台で、4拠点に対していかに最適に水素を運搬していくかも重要な検証項目になる。今後は水素の製造から利用までを一元管理できるクラウドシステムを構築し、燃料電池フォークリフトの水素残量を把握して、それに合わせて「ジャスト・イン・タイム」で配送を行うなど、運用の高度化にも取り組んでいく。

 再生可能エネルギーを利用して製造した水素と、燃料電池フォークリフトの導入により、現在主流の電動・ガソリンフォークリフトと比較してCO2排出量を80%以上削減できる見込みだという。

 実証期間は2018年度までを予定している。焦点となるのは実用化に向けた課題であるコストの検証だ。実証では水素の量産効果や規制緩和などにより、水素サプライチェーンの構築に掛かるコストをどこまで下げられるかなどを精査していく。