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C大阪、鹿島と対戦する強豪セビージャとは?新指揮官就任も受け継がれた“ビエルシスモ”

7/14(金) 20:22配信

GOAL

Jリーグのクラブが世界の強豪に挑む――。

セレッソ大阪は17日に行われる『StubHubワールドマッチ2017』で、鹿島アントラーズは22日の『明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017』でスペインのセビージャと対戦する。

世界最高峰のリーグに所属し、ヨーロッパリーグ3連覇など数々の偉業を成し遂げてきた相手に対し、Jリーグのクラブがどのような戦いを見せるのか。選手にとってはトップレベルのプレーを体感できるまたとない機会となるだけに、注目されるところだ。

開催に際し、セビージャがどのようなチームなのか、改めて振り返っていこう。

今回、フォーカスするのは新指揮官のエドゥアルド・ベリッソ。彼の着任により、セビージャはどんなチームになっていくのか? 彼が持つ哲学とは?

スペインの大手メディア『マルカ』で記者を務めるロシオ・ゲバラが紐解く。

■受け継がれた系譜

ホルヘ・サンパオリからエドゥアルド・ベリッソへ――。

アルゼンチン人監督からアルゼンチン人監督へ、バトンは引き継がれた。クラブはヨーロッパで最も注目を集める監督の一人、マルセロ・ビエルサの系譜を継ぐ監督の一人と契約することを決断した。それはつまり、サンパオリとともに歩んできた道を、そのまま進み続ける選択をしたことを意味している。

1969年11月12日、アルゼンチンのコルドバ州クルス・アルタで生まれた“トト”(母親が愛情を込めて彼をこう呼んでいた)ことベリッソは、セルタで過ごした3シーズンでチームを3度の準決勝(コパ・デル・レイ2回、ヨーロッパリーグ1回)に導くなど、輝かしい功績を残した。そんな男のもとにオファーが届かないはずもなく、成長と新たな挑戦の機会を約束するバレンシア、ポルト、アスレチック・ビルバオといった複数のクラブが早い段階から近づいていた。

しかし、結果としてベリッソはセビージャを選んだ。まるで、自然と出会うことを運命づけられていたかのように。

■バルサをも打ち負かした手腕

エドゥアルド・ベリッソとはいかなる人物なのか? 彼が率いたチームの印象的な試合を振り返るとするなら、(セルタの本拠地がある)ガルシア時代のバルセロナ戦が挙げられる。ホームのビーゴで行われた試合で、セルタは相手のお株を奪うような前線からのプレッシングとパスワークを披露した。90分を終えてスコアは4-1。見事に白星をつかんでみせたのである。

当時、バルセロナの年間予算が6億ユーロ(約780億円)だったのに対し、セルタはたった3500万ユーロ(約46億円)だった。必ずしも当てはまるわけではないが、多くの場合、クラブの金銭的な差はピッチ上の結果に反映される。だが、セルタはそんな差など全く関係ないことを芝生の上で示してみせたのだ。

自分たちを遥かに超える規模の相手を打ち倒した背景には、ベリッソが持つ“ビエルシスモ(ビエルサ主義)”があった。美しいフットボールを好み、ピッチ上では規律を求め、日々のトレーニングを徹底的に行う――。前任者のサンパオリにも見て取れたフィロソフィーを、彼もまた持ち合わせている。

サンパオリがビエルサを「フットボールのアイコン」として見ていたのに対し、ベリッソはチリ代表のスタッフとして、ビエルサとともに仕事をした経験がある。だからこそ、美しく攻撃的なフットボールを嗜好するようになったのだ。

■新指揮官の特徴と求められること

もっともサンパオリとベリッソが完璧に同じタイプの監督というわけではない。

サンパオリが自身のスキームに見合った選手を必要とするタイプの監督であるのに対し、ベリッソはすでにある環境やメンバーに自分の方から歩み寄り、適合していくタイプの指揮官だ。

手元のリソースを活用するのが非常にうまい。セルタ時代には、3つの大会を戦う上で選手たちがプレーする時間を分け合うことの重要さをロッカールーム全体に浸透させていた。

セビージャにはニコ・パレハ、ダニエウ・カリーソ、ミカエル・クローン=デリといったベテラン選手と、大きな期待を背負って加入したルイス・ムリエルやギド・ピサーロといった選手がいる。彼らをまとめ上げること、さらにカンテラにいる将来有望な選手のために一定の出場枠を準備することも重要になってくる。全く境遇の違う選手をまとめ上げていくことが求められるだけに、彼のようなタイプの監督はクラブにとって、悪いチョイスではないだろう。

47歳のベリッソは、監督としてキャリアで最も重要なプロジェクトに取り組むことになる。UEFAチャンピオンズリーグのデビューも果たすことになる。

彼はクラブのプレゼンテーションで、指導者人生最大のチャレンジについてこう定義していた。

「セビージャが勝ち続けること」

近年のセビージャサポーターはハングリーだ。何といってもヨーロッパリーグで3連覇を達成している。決勝でプレーすること、大舞台で勝利を手にすることの味を知っているのだから。

ベリッソはチャンピオンズリーグで60年ぶりの準決勝進出という夢を追いかけ、リーガでは順位表をかき回す必要がある。そしてコパ・デル・レイを疎かにしたことがないクラブの伝統も継続していかなければならない。

まさに3つの大会で、結果を求められているわけだ。

だからといって、クラブやファンの期待が新指揮官にとっての重荷になることはないだろう。繰り返しになるが、彼が掲げた目標は「勝ち続けること」。セビージャというクラブを率いる事の重大さは、誰よりも彼自身が理解している。

ベリッソの野望がセビージャにとって良いものであることは間違いない。新監督のチャレンジとセビージャの野望が、素晴らしい化学反応を起こすことに期待したい。

文=ロシオ・ゲバラ(マルカ紙セビージャ番) 協力=江間慎一郎

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最終更新:7/14(金) 20:22
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