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MS本社で大暴露、「我が社がWindows 10へのアップグレード移行を諦めた52の理由」

7/14(金) 10:41配信

ITmedia エンタープライズ

 Windows 10の導入をネタに開催した読者イベント「俺たちの情シス 出張版スペシャル2」。後編では、残り2人のライトニングトークの内容を紹介していきます。

【画像】Win10の問題が起こったときの、ちょっと不思議な改善方法

・前編はこちら→「Windows 10の無償アップグレードをもう一度!」 MS本社で情シス“魂の叫び”

 3人目に登壇したのは、ソーシャルゲーム開発会社の情シス、Hさんです。「Windows 10へのアップグレード移行を諦めた52の理由」と題し、そのうち面白かったという9個について披露していただきました。この話、本当にマイクロソフト本社でやって大丈夫なんですか……?

 Hさんの会社は従業員が1700人で、2300台のWindows 7、230台のWindows 10、700台のMacと多様なPC環境を構築しています。職種もデザイナー、エンジニア、プランナー、バックオフィスなどさまざまで、それぞれにキッティングのマスターディスクを分けているとのこと。

 Windows 10の無償アップグレード期間中に約15人で検証に取り組みましたが、52件の不具合が発生したところで、アップグレード移行を諦め、検証をやめたとHさん。「1つひとつの問題で、解決策を探すのが大変すぎました。検証するにしても、問題が出たり出なかったりするので、移行してから切り分けするのが現実的ではないと考えました」と振り返ります。

 再起動するだけで解決する問題が多かったものの、テキストエディタの起動時にカーソルがロード中のままで開けなくなる、PC自体がフリーズするといった問題は「強制シャットダウン、起動をしたあとに、シャットダウン、起動を何度か繰り返すことでだんだん直っていきました」とHさんは報告。その他、Chromeの64ビット版がクラッシュ、フリーズしてしまう問題は、64ビット版をアンインストールして32ビット版を入れたとか。

 一方で、Windows 7からのアップグレードではなく、クリーンインストールしたWindows 10はほぼ順調に動いており、Hさんも「Windows 10への移行で得られるメリットもある」と評価しています。そのため、今ではWindows 7とWindows 10のPCを別に配布することで、ゆっくりとWindows 10への移行を進めているそうです。

●今までは自動ログイン、Windows 10のPIN入力でセキュリティ意識が向上

 最後に登壇したのは、フリースクールを営むNPO法人の情シスSさんです。職員は10人程度で、PCのOSはWindows XP(!)、Vista、7、8.1が混在しており、メインPCはWindows Vistaだったとのこと。

 Windows 10移行のきっかけは、月例のアップデート。アップデートが始まるとなかなか終わらず、現場から「PCが重くて作業ができない」という苦情が挙がっていました。しかし、「現場から『どうしたらいい?』と聞かれても、『どうにもならない』と答えるしかなかった」と語るSさん。

 これまでバラバラなOSを使っていたものの、この問題をきっかけに社内のPCが全てWindows 10に。「現場の実害が生じると、割とOKが出やすいですね」とSさん。移行後、ユーザーから評判が良いのは、スタート画面だそう。「よく使うアプリケーションをスタート画面にピン止めして起動しやすくしているのが好評です」(Sさん)。

 Windows 10にアップグレードしたメリットとして、Sさんが挙げたのはセキュリティでした。これまでSさんの会社ではログインという習慣がなく、自動ログインにして、スリープ復帰の際もロックしないのが当たり前だったものの、Windows 10にしてから、4桁のPINコードの入力でログインする作業が習慣化されたそうで、「これは、私たちの組織としては大きな一歩です」とSさんは胸を張りました。

 予算が潤沢とはいえないNPO法人にとって、マイクロソフトの非営利プログラムは大きな助けになったようです。「このプログラムを使うことで、費用を抑えてWindows 10を導入できました。もしこれがなければ、PC全てをWindows 10に統一するどころか、新しいPCを1台購入するくらいが限界だったかもしれません」(Sさん)



 PC環境の整備が一段落したというSさん。今後はOffice 365による情報共有など「新しいことを始めたい」とのことです。ただ、ログオンの習慣を作るのにも苦労したことを考えると、クラウド利用はやはり大変かも……? Sさんの挑戦はまだまだ続きそうです。

●「絶対に負けられない戦い」? マイクロソフトの情シスが語るWindows 10

 イベントでは、日本マイクロソフトの“情シス”である古川さんも登壇。本家本元の立場から、マイクロソフト社内におけるWindows 10の利用状況について語りました。古川さんによると、マイクロソフトの社内では約37万台のWindows PCが使われ、約1800の業務アプリケーションが稼働しているとのこと。

 「マイクロソフトですから、Windows 10を“半強制的”に使っています」と古川さん。展開の仕方には、ユーザーが自分で導入するPull型、強制的に入れるPush型の2種類があるそうです。新しいバージョンがリリースされた直後はPull型で、2週間程度たっても導入していないユーザーに対しては、強制的にインストールするルールになっています。

 会場をどよめかせたのは、社内のWindows 10導入状況が国ごとに可視化されているという話でした。「世界各国のマイクロソフトにおける導入状況が、データとして一目で分かってしまいます。日本は当初割合が低かったのですが、巻き返してきました」(古川さん)

 参加者からは「国ごとに競争しているみたいで、Windows 10導入の日本代表みたい」という感想が。マイクロソフトもいろいろ苦労している――そんな“裏の顔”を見せてくれたライトニングトークでした。

 Windows 7のサポート終了は2020年4月と、あと3年を切りました。どの企業も苦労しながらも徐々にWindows 10に切り替え始めています。読者の皆さんの会社は今、どのような状況ですか?

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