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「KIMONO」でおもてなし=工芸再起へ196カ国表現―東京五輪

7/14(金) 13:44配信

時事通信

 東京五輪・パラリンピックの開催を契機に、日本が誇る「匠(たくみ)の技」の魅力を国内外へ広めようと、世界196カ国にちなんだ着物を作るプロジェクトが進行中だ。

 着物をはじめとする伝統工芸品の生産額が30年間で5分の1にまで縮小する中、工芸産業の再起に向け、各地の生産者が新たなアプローチで挑んでいる。

 東京・渋谷で5月に開かれた「KIMONOプロジェクト」のファッションショー。この日が初披露となった太平洋中西部の島しょ国ミクロネシアの着物には、青空に懸かる虹と、鮮やかな鳥やハイビスカスが描かれた。観客はうっとりとした表情で眺め、振り袖姿をスマートフォンに収めた。

 これまでに55着が完成。多くの音楽家を輩出したドイツの着物には音符や鍵盤があしらわれ、工業国らしく歯車の模様も。インドはタージマハルにゾウやクジャク、ハスが取り入れられるなど、文化や自然風土といったお国柄が随所にちりばめられている。

 ショーの司会も務めた代表の高倉慶応さん(49)は、福岡県久留米市の呉服店3代目。「夢は東京五輪の開会式で選手の先導役に着てもらうこと」と目を輝かせる。2015年のミラノ万博など国際イベントにも参加。残りの国もクラウドファンディングなどで募った寄付を活用し、20年までに作り上げる予定だ。

 ◇地域ぐるみで発信
 伝統的工芸品産業振興協会によると、生産額は1983年の5400億円をピークに、14年には1000億円まで縮んだ。29万人いた従業者も7万人に減少。ライフスタイルの変化に加え、後継者不足も逆風となった。

 「職人に誇りと自信を取り戻したい」と考えていた高倉さん。東京五輪の開催決定を聞き、着物で貢献できないかと企画を立ち上げた。「万国着物」のアイデアは、13年にパリで開いたショーでの経験が発端。江戸期の画家伊藤若冲の花柄にアールヌーボー調の模様を融合した着物が大反響を得たことで、「相手をおもんぱかるという日本文化の力を感じた」という。

 制作には全国の染元や織元、作家らが協力。大使館や学校、市民などとも連携し、国際交流や教育にも一役買う。「多くの人が関わって海外に発信することで、日本人もまた、着物の魅力を再認識するはず」。高倉さんは期待に胸を膨らませる。 

最終更新:7/14(金) 14:16
時事通信