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「つくりものでないドラマ、今年も楽しみ」浅尾美和さん

7/14(金) 16:09配信

朝日新聞デジタル

 はつらつとした笑顔でプレーする姿が印象的だった元ビーチバレー選手の浅尾美和さん。高校時代は「春高バレー」出場を目標に必死に練習に励んでいたと言います。甲子園を目指し、この夏の三重大会に臨む高校球児たちに熱いメッセージを語ってもらいました。

【写真】現役時代、ビーチバレーの試合でスパイクを決める浅尾美和さん


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 青空に向かって、大きな声で校歌を歌う姿。あのすがすがしい笑顔を見ると、高校球児ってやっぱりこれだよな、って思わされるんです。好きなスポーツに一生懸命打ち込んでるからこそ、こんな笑顔ができるんだなって。

 一昨年の夏、母校の津商が甲子園に出場したときは、テレビ中継に合わせて思わず校歌を口ずさんでしまいました。ビーチバレーの解説の仕事がありましたが、試合の途中経過が気になって仕方なくて。解説しながら近くの海の家にあるテレビの音をこっそり聞いていました。今でもあの興奮は忘れられません。

 弟も野球を続けてきて、高校球児。そんな影響もあって、高校野球は大好きです。甲子園という神聖な場所を目指して全力を出し切っている球児たちの姿に、ついつい見入ってしまうんですよね。

 だけど、高校時代は、野球部の応援に行けないほど、バレーに打ち込んでいました。男子を見るなんて浮ついているって言われるくらい、厳しかったので。

 私たちの目標は、先輩たちがつないできた春高バレーへの連続出場を絶やさないことでした。毎日の練習は、本当にきつかったです。朝は6時過ぎの電車に乗って練習へ。電車を降りれば学校までの坂をつま先だけで早歩きで登り、ジャンプ力を鍛えていました。夜も遅くまで練習。休みは、元日と夏休みの最終日の2日くらいだった気がします。

 でも、ライバル校には有望な選手が集まっていて、全く歯が立ちませんでした。春高の予選前の試合では、2戦連続でストレート負け。「こんなに練習してるのになんで勝てないの」って、みんなで悔し涙を流したのを覚えています。

 それでも、大学生のチームにライバル校の映像を見てプレーを再現してもらい、徹底的に研究しました。そして、迎えた春高の切符をかけた予選の決勝は、フルセットの激闘になりました。相手にセットポイントを奪われ追い詰められましたが、最後に粘りを見せ、逆転で優勝を決めました。その瞬間、色々なことを犠牲にしてきたけど、本当に良かったって涙がこみ上げてきました。ここに、私の青春がぎゅっと詰まっていますね。球児のみなさんも、つらい練習を乗り越えてきたからこそ、この夏は一生忘れられない夏になるはずです。

 ここまで頑張ってきたからこそ、最後は楽しんでプレーしてください。緊張や不安もあると思います。私も高校時代は勝つことに必死で、もっと楽しんでプレーすれば良かったと後悔しました。

 楽しんだ方が身体もリラックスして良いプレーも出ます。ビーチバレーに転向してなかなか勝てない時期、調子のいいときの映像を振り返ってみると、笑顔でプレーしていて動きも柔らかかったです。

 大切なのは、練習では身につけられない気持ちの持っていき方です。試合前は相手のプレーを見ながら、「自分の方が絶対にうまい」と自己暗示をかけていました。そして、笑顔をつくってプレーすることで、気持ちもリラックスさせるようにしていました。

 楽しんでやろうとすれば、応援に来てくれた人にも伝わります。支えてくださった監督や家族も、みなさんが楽しんでプレーすることを望んでると思いますよ。

 みなさんの夏にも常に全力でプレーするからこそ起きるドラマがあるはずです。そんなつくりものではないドラマを、今年の夏も楽しみにしています。(構成・三浦惇平)


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 〈あさお・みわ〉 1986年2月2日生まれ。鈴鹿市出身。高校時代は津商でバレー部の主将を務めた。春高バレー(全日本バレーボール高校選手権大会)に2大会連続、全国高校総体、国体には3大会連続で出場した。高校卒業後はビーチバレーに転向し、西堀健実とのペアで2008年の全日本女子選手権で優勝した。2012年に現役引退を発表し、現在はタレントとして活躍。2児の母。

朝日新聞社