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「五輪仕様」農家増やせ=国産食材活用で認証普及へ―東京五輪

7/14(金) 13:45配信

時事通信

 1500万食―。

 2012年ロンドン五輪・パラリンピックで、選手やスタッフらに準備した食事の量だ。20年東京大会ではさらに必要になるとみられている。食材の調達条件は、安全性を担保する第三者認証「農業生産工程管理(GAP)」の取得。しかし、国内農家の取得は遅れており、「五輪仕様」の農家を増やそうと、農林水産省が普及に力を入れ始めた。

 取得者が増えない最大の理由はコストの高さ。日本独自の認証「JGAP」の場合、審査料は10万円程度負担する必要がある。組織委員会は3月、選手村などで提供する食事では、GAPを取得した食材を使うと発表したが、このままでは、かなりの食材を外国産に頼らざるを得なくなる。

 同省は、国産食材の活用を進めるため、19年度末までに取得農家数を現状の3倍以上に増やす目標を設定。審査料などを助成するほか、18年度はGAP取得を目指す農家を特定の補助金交付事業で優先的に採択する方針だ。

 ◇風評克服のチャンス
 「GAP日本一を目指す」。今年5月、福島県の内堀雅雄知事は力強く宣言した。県の取得数は現在9件だが、20年度までに大幅に増やす目標を発表。県は、東京電力福島第1原発事故による風評被害を克服するチャンスと捉える。五輪に県産食材を提供し、「福島ブランド」を国内外に広くアピールしたい考えだ。

 県は各地で積極的に説明会を開き、農家や農協職員に取得のメリットを説明している。農家からは「うちでも取れるだろうか?」という質問が多く、関心の高さがうかがえるという。

 同県会津若松市で柿やモモ、リンゴなどを育てる果樹園の「オーチャード斉藤株式会社」は、1月にJGAPを取得した。

 作業日報などの書類づくりが煩雑で、農薬保管庫を買うなど出費も多かったが、斉藤充弘社長(60)は「取得を通じて、会社全体で清潔さの維持や労働安全への意識が高まった」と実感。ただ、東京五輪向けに商品を出荷すると、通常の販売在庫が不足しかねない。このため、「(五輪を優先して)客に迷惑を掛けるくらいなら、『余裕があれば五輪にも回す』という程度がいい」―。今はそう考えている。

 ▽GAPとは
 農産物が安全で環境に優しい生産体制で作られ、作業者の労働安全も守られているかを第三者が審査、認証する制度。「Good Agricultural Practice」の略。審査項目は農薬管理、異物混入の防止、廃棄物の適正処理、教育訓練の実施など。ドイツの民間団体が運営する国際認証「グローバルGAP」、日本GAP協会が運営する「JGAP」などがある。国内では知名度が低く、両者の取得農家は計約4500件にとどまる。牛乳や卵、食肉の生産管理を審査・認証する「畜産GAP」も今夏始まる。 

最終更新:7/14(金) 14:17
時事通信