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<クラフトビール>大手各社が注力 個性的な味わいアピール

7/14(金) 19:43配信

毎日新聞

 大手ビール各社が、個性的な味わいで若者に人気の「クラフトビール」に注力している。大手各社の1~6月の「ビール類」国内総出荷量(課税済み)は上期として過去最低を更新するなど、消費者の「ビール離れ」に歯止めがかからない中、新たな需要を掘り起こそうと魅力的な商品作りをアピールしている。

 アサヒビールは今月10日、クラフトビールへの本格参入を発表した。既存工場内に専用の醸造施設を新設し、9月から飲食店向けの業務用販売を開始する。現在は本社に隣接する醸造所(東京都墨田区)でのみ生産し、直営の飲食店などに提供しているが、今月21日に「隅田川パブブルワリー」として改装オープンする。サッポロビールも子会社が2015年から「クラフトラベル」を生産、一部の直営飲食店で提供している。

 飲食店だけでなく、食卓で味わう機会も増えている。先行するキリンビールは、12年にクラフトビール「グランドキリン」の販売を開始。国内クラフトビール大手のヤッホーブルーイング(本社・長野県軽井沢町)や、米クラフトビールメーカーのブルックリン・ブルワリーと資本業務提携し、ノウハウの獲得を急いでいる。

 サントリービールは15年から「クラフトセレクト」を販売、今年2月には「東京クラフト」にブランドを刷新した。個性的な味と香りを残しながらも、日本人の好みに合わせたバランスのよい味わいを実現したという。

 クラフトビールは国内ではまだ珍しく、発泡酒と第3のビールを含むビール類全体の市場に占める比率は1%と小さい。しかし、香りが強くフルーティーな「エール」や、強い苦みが特徴の「インディア・ペール・エール」など個性的な味わいが若者から支持されている。醸造所を備えた飲食店「ブルーパブ」も首都圏などで拡大。16年は前年比1.3倍の360万ケースが出荷され、17年は460万ケースの出荷を見込む。

 世界には100を超えるビールの種類があるが、国内大手が製造するビールはホップの苦みと炭酸の爽快さが特徴の「ラガー」が主流。「若者はコクとキレをウリにした従来のビールにはない、新しい味わいを求めている」(ヤッホーブルーイング)。新たな魅力でビール離れを食い止めることができるか。【今村茜】

 ◇キーワード・クラフトビール

 明確な定義はないが、「地ビール」が解禁となった1994年の酒税法改正をきっかけに各地に造られた小規模の醸造所(ブルワリー)で、素材や製法にこだわって少量生産されたビールを指すことが多い。国内では麦芽比率67%以上で、決められた原料だけで生産したものを「ビール」と定義する。麦芽比率が低かったり、香辛料や果物で風味付けしたものは容器に「発泡酒」と明示しなくてはならない。欧州産ビールや国内クラフトビールは発泡酒に分類されることが多く、事業者から不満が出ていた。政府は来年度からビールの定義を広げ、麦芽比率を「50%以上」に引き下げて、原料に果物や香辛料を使っているものもビールと表記できるようになる。

最終更新:7/14(金) 22:03
毎日新聞