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<トランプ氏>「輸入枠と関税の両方」鉄鋼制裁に意欲

7/14(金) 21:57配信

毎日新聞

 【ワシントン清水憲司】トランプ米大統領は12日、「国家安全保障上の脅威」を理由に検討中の輸入鉄鋼製品に対する制裁措置について「輸入枠と関税のふたつの方法がある。恐らく両方だ」として制裁発動に強い意欲を示した。鉄鋼価格下落の原因になっている中国だけでなく他国も制裁対象にする構えで、日本が含まれる可能性もある。主要20カ国・地域(G20)の首脳らの説得は不調に終わった形で「貿易戦争」の恐れが強まっている。

 「鉄鋼をダンピング(不当廉売)し、米国の製鉄産業を破壊している」。トランプ氏は12日、訪問先のパリに向かう機中で記者団の取材に応じ、鉄鋼輸出国を非難した。ダンピングしているのは「中国だけでなく、他の国々もだ」とも述べ、制裁を中国に限定しない考えを示唆。「何十年間ものダンピングを私がやめさせる」と決意を語った。

 米メディアによると、ロス商務長官は13日、制裁の根拠となる調査報告を今後1週間程度で提出すると議会関係者に説明。トランプ氏に対応策の「選択肢」も示し、制裁に踏み切るかどうか判断をあおぐという。

 「米国第一」の通商政策を掲げるトランプ氏は、大統領選中から強硬姿勢を示してきたが、実際に制裁発動を決めれば、いよいよ保護主義政策に踏み込むことになる。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は「EUも即刻、措置を取る」と述べており、対象各国が世界貿易機関(WTO)への提訴や対抗措置発動に動く可能性が高い。大規模な報復合戦に発展すれば、世界経済への悪影響も大きくなる。

 世界的な鉄鋼価格の下落は、中国の過剰生産が原因だ。G20は「グローバル・フォーラム」と呼ばれる協議機関を通じ、中国に対策を求めてきた。ただ、米国の制裁が中国だけでなく、日本や欧州など同盟国を巻き込めば、かえって国家安全保障を損ないかねず、国際社会で孤立する可能性も高まる。

最終更新:7/14(金) 22:12
毎日新聞