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濁流浸水 酪農家悲鳴 九州豪雨  福岡、大分

7/14(金) 7:01配信

日本農業新聞

 九州北部を襲った豪雨で、酪農に欠かせない飼料に深刻な被害が出ている。濁流に漬かったため廃棄せざるを得ない。ほぼ全てが使えなくなった農家もいる。自給飼料と比べコストが3倍ほど高い輸入牧草で代替するしかなく、経営には大きな打撃だ。水に漬かった牛はストレスで乳量が落ちており、影響は長引きそう。酪農家はコスト増と収入減の二重苦に悲鳴を上げている。

「牧草がない」 乳量大幅減…

 草がない――。福岡県朝倉市。経産牛43頭と育成牛33頭を飼う岩下寿秀さん(42)の農場では、白いビニールでラップした飼料400個近くが濁流にのまれ、ほぼ全て使えなくなった。「自給飼料が経営を支えていた。今後どうすればいいのか」とうつむく。

 当面はわずかに残った自給飼料でやりくりする。だが、いずれは輸入牧草に頼るしかない。県酪農協によると、輸入牧草は1キロ60円ほどで、自給飼料に比べ、3倍も高い。岩下さんは「飼料だけで数百万円のコスト増になる」とみる。浸水した機械の修繕費なども重くのしかかる。

 飼料不足は今後も続きそうだ。土砂が流入し、岩下さんが手掛けていた牧草12ヘクタール、稲発酵粗飼料(WCS)4ヘクタールを含め、地域の多くの農地が被災した。今年のWCSは収穫できない恐れがあるだけでなく、次の作付けに悪影響が出かねない。

かさむコスト 経営圧迫

 出費がかさむ一方、収入は減っている。被災ストレスで乳量が大幅に減っているためだ。岩下さんの農場では、牛の膝まで浸水。「泥でホルスタインだと分からないくらい真っ黒になってしまった」(岩下さん)。乳量は今も通常の7割ほどにとどまる。「影響は長引きそうだ」と心配する。

 大分県でも同様の被害が出ている。日田市で乳牛230頭などを飼う本川耕三さん(66)は、道路が寸断された影響で牧草15ヘクタールのうち2.5ヘクタールを刈り取れない。道路の復旧には時間がかかるとみられ、割高な輸入牧草で代替するしかない。乳量も2割ほど減っている。

 道路寸断の影響で集乳できず、やむを得ず生乳を廃棄する事例も福岡、大分の両県であった。集乳は現在、ほぼ正常化している。(松本大輔)

日本農業新聞

最終更新:7/14(金) 7:01
日本農業新聞