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サカナクション山口 “売れたミュージシャンを嫌いになる理由”あれこれ

7/14(金) 20:01配信

TOKYO FM+

サカナクションの山口一郎が、TOKYO FMのレギュラー番組に出演。以前の放送でテーマになった「売れたら嫌いになる理由」について、リスナーの意見を紹介し自身の見解を語りました。
(TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK! サカナLOCKS!」7月13日放送分)

【私の応援しているバンドは、メジャーデビューしてからとても聞きやすくなりました。今もそのバンドが大好きですが、好きだった癖が薄くなる、大衆受けを狙った音楽ばかりになるのは、売れたら嫌いの理由のひとつになるかもな……と考えました。(19歳・女性)】

山口:なるほどね。確かにメジャーデビューすると、タイアップがついたり……CMとかドラマとか、そういったものを狙わないといけなくなったり、音楽がさほど好きではない人(自分から音楽を探そうとしない人)に対しても音楽を届けていかなくてはならなくなる。300人~500人キャパシティでライブをやっていた人たちと、2万~3万人のキャパシティでライブをしている人たちは、やっぱり作る音楽が変わるようにどこに向けるかでサウンド構築が変わっていくとは思うね。

ただ、メジャーデビューして感じたのは、プロデューサーがいるバンドが多い。サウンドアレンジを別の人がやって、それを自分たちの曲ですって出しているんだなって。その変化があるんだっていうのは感じますね。メンバーが1人増えるようなものじゃないですか。自分たちのカラーを、違う人が構築するわけだから。その変化を感じると、なんか冷めるなっていうのはちょっとありますよ。サカナクションはそのサウンドプロデューサーはいなくて、メンバーだけでやってきているんですけど……ただ、それも音楽の楽しみ方だと思うんですね。自分の好きな、先に見つけたミュージシャンがメジャーにいったときに、メジャーに対してどんなアプローチをするかっていう楽しみ方も音楽の中にはあるんじゃないかと思う。それをうまくやっているミュージシャンが多分、今残っているんだと思う。だから、そこも音楽の楽しみ方として受け入れていくとこの問題は解決するんじゃないかと思う。


【人気が出るとチケットがにわかファンなどで入手困難になる。更に今まで通りの純粋に好きな人だけのライブではなくなるから。(12歳・男性)】

山口:音楽目当てではなくて、その人に会いたいっていう人たちが増えるっていうことですよね。でもこれはミュージシャンとしての解決方法は結構難しい。キャパシティが大きくなればなるほど、来る人は増やさないといけないわけだから。今までの自分たちの曲だけで伝えきっていた人数と、外に向かって発信して増えていった人数は圧倒的に違うので、その人たちを全部受け入れるくらいの大きい会場でやるとなるとたくさん売らないといけないから、チケットが取れにくくなる戦略をとるっていうのはマネジメントの戦略として出てくるんじゃないかなという気がしますけどね。それでも、アリーナの大きいところで、チケットは取りにくいけど、とった甲斐があったって思わせるライブをするっていうのも、ミュージシャンがやらなければいけないところですよね。


【自分だけが知っていて頑張ってきているのをずっと見ていたから、売れてくれるのは嬉しいんだけど、その頑張りを知らない沢山のファンに囲まれているのが自分から遠ざかってしまったような気持ちになる。私だけのものだったのが、いきなりみんなに取られてしまって悲しいということかと。独占欲が溢れてしまったと言えばいいのでしょうか。(17歳・女性)】

山口:あそこのラーメンめちゃくちゃ美味しいって思っていたら、いつの間にか行列ができていて、自分だけが知っていたのに……ってことですよね。恋愛感情とかを持っていたりすると、余計にそういうのがあるのかもしれないですね。嫉妬心というか。自分のことを歌ってくれているかのように思っていたのが、自分だけじゃなかったんだって感じてしまった瞬間に、自分を代弁してくれていないって思ってしまうのかもしれないですね。……分かるね。僕が、売れたミュージシャンに対してうーん……って思っていた感情はこれに近いかもしれないな。そういうこと言って欲しいわけじゃないじゃん……ってなっていくっていうね。これはすごい分かりやすいかもしれないですね。


【応援していたミュージシャンが売れてしまうと気持ちが離れてしまうのは、「売れていない」=「結果を残せていない」ことに、自分を重ねて見ているからではないかと思います。目立たなくてファンも少ないミュージシャンと、学校や職場で思ったようにやれていない自分。世間に認められていないところが同じだという安心感を感じて、自分のように冴えない彼らを応援したくなるのではないでしょうか。だから、仲間だと思っていた彼らが人気になってくると、自分との差が開いていくのを目の当たりにしているように思えてきて、嫉妬心や阻害心で心から応援できなくなるのではないでしょうか。ベンチ仲間だった部活の友達が自分を残してレギュラーに入ってしまうのと似たような心情だと思います。(17歳・女性)】

山口:みんな言わないけど、これはあるよね。売れていないっていうのは、自分との距離が近い。売れたことで自分との距離が遠くなる、自分の気持ちを代弁してくれなくなるっていうことに対して否定的になってくるのかな。でも、これは難しいところだよね……。自分が良いって思ったものが世の中の人も良いって思うんだ……自分の感覚はみんなと同じなんだっていう安心感にはならないのかな? 私は先に知っていた。周りがやっと気づいてきたっていう優越感っていうのは出てこないんですかね?

僕的には「先に知っていた自分ってセンスあるじゃん」って思ってもらえたら良いのになって思います。売れてからどういう風に変化していくのかっていうのもそのバンドに対する期待として持っていて欲しいなと思います。メジャーに行くこと、売れていく過程っていうのは本当に大変なんですよ。今までは好きな時に好きなタイミングで曲を作ればよかったのが、何か企業と結びついて、自分が書きたいと思わないタイミングでも曲を書かないといけなかったり、全然会ったことがない人にライブに足を運んでくださったお礼を言ったり……。そういう、みんなが仕事とか学校で苦しい思いをしているのと同じことが、ミュージシャンの背景にもいろいろあるわけです。その上で頑張って売れていっているわけだから、そこも、あんな素朴な歌を歌っている人がこんなに頑張っているんだって気づいたりするとまた違った目線が出てくるんじゃないかと思います。

売れたら嫌いになるっていうのはサカナクションも経験していますよ。僕らは、ファーストアルバム、セカンドアルバムは1800枚しか売れなかったからね。その1800人は自分たちのことをすごく好きでいてくれたけど、3枚目の『シンシロ』っていうアルバムを出した時にたくさんの人に聴いてもらえるようになったんですね。でも1800人の中には離れていった人がたくさんいる。逆に『シンシロ』を出したことで知ってもらえたりもしている。
今作っている最新アルバムもそう。今自分たちが作った曲を好きだって思ってくれている人が、ファースト、セカンドアルバムの曲を好きだって思ってくれるっていうことが、自分たちの歴史を知ってくれるっていうことになるんじゃないかなと思います。ミュージシャンの中にもいろんな葛藤があること、チャレンジしているっていうことをリスナーが理解してくれたりすると、ミュージシャンもチャレンジしやすくなりますね。

最終更新:7/14(金) 20:01
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