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【インタビュー】「心が震える」一戦を会場で! 『ユニサカ』代表の渡辺夏彦が語る“早慶クラシコ”の魅力

7/14(金) 22:44配信

SOCCER KING

インタビュー・文=平柳麻衣
写真=金子拓弥、岩井規征、ユニサカ

 勝てば天国、負ければ地獄。互いのプライドが激突する伝統の一戦、早慶サッカー定期戦が7月15日に行われる。

 慶應義塾体育会ソッカー部4年の選手でありながら、一般社団法人『ユニサカ』の代表理事を務める渡辺夏彦は、“早慶クラシコ”と銘打った今大会を大学サッカー変革の起爆剤にしたいと言う。

「僕には生涯をかけて成し遂げたい志がある。それは『サッカー日本代表が世界のトップをつかみ取る』未来を作ること」

 大きな志に向かって歩みを止めない彼の胸中に迫った。(※取材は6月26日に実施)

■大学スポーツの理想に一番近い絵が早慶戦にある

――一般社団法人『ユニサカ』を立ち上げた理由として、将来的にサッカー日本代表を強くすることを掲げていますが、そう思ったきっかけは?
渡辺  中学生の頃からサッカーのためにスペインやブラジル、ドイツなどへ行く機会があって、海外と日本を比較して見た時に「どうしたら日本はサッカーが強くなるのか?」と考えるようになりました。また、高校時代に僕自身がU-18日本代表に入ったことも、より日本サッカーについて考えるきっかけとなった一つです。

――そして大学に入学し、行動に移してみようと?
渡辺  実は、大学に入ったばかりの頃は大学スポーツや大学サッカーに全く興味がなかったんですよ(苦笑)。育成年代、特にゴールデンエイジに着目して研究をしていました。でも、だんだん自分が今、当事者である大学スポーツに課題があると感じるようになり、それなら「今ここで自分にできることをやろう」と思って。

――『ユニサカ』は現在、早慶サッカー定期戦に向けた様々な取り組みを行っていますが、その中の一つとして先日、クラウドファンディングを開始しました。
渡辺  本当はもっと長い期間実施するはずだったんですけど、準備の段階でなかなか難しくて、開始直前までバタバタでした。開始4日で目標額(100万円)の4分の1を達成できたのですが、それ以降はあまり伸びなくて……。

――その要因は?
渡辺  木曜日に開始したことで、最初の3日間が金曜、土曜、日曜となり、僕たちのリーグ戦の試合前日や試合日と被って告知活動に力を入れられなかったことが一番痛手でした。もう少し数字が伸びていったら、周りの人たちに「おっ?」と思わせられるのかなと思うので、巻き返していきたいです。

――このクラウドファンディングは早慶の学生を主なターゲットにしているのですか?
渡辺  そうですね。早慶に関係ない人たちに支援をお願いするのはなかなか難しいですが、顔が見えている相手なら「応援してあげようかな」と共感を生みやすいと思うので、そこは狙っていきたいと思っています。

※編集部注:7月7日に募集期間が終了。支援金額は1,084,000円と目標の100万円超えを達成した。

――そのほか早慶戦に向けて企画したことは?
渡辺  『ユニサカ』が作ったポスターはSNSでも発信しているのですが、早慶合わせて全部で22種類、インパクトがあって面白いものができたと思うので、ぜひ見ていただきたいです。

渡辺  あと、今年は小中高生に対してもっとリーチしていきたいと思い、SAPIX YOZEMI GROUP、ナガセグループ、日能研などの塾に通っている“早慶を意識した”子どもたちや、早慶の付属校の生徒、選手の出身校や出身クラブの後輩たちに当たっています。チケットはQRコードから事前登録してもらう形で、試合当日に早慶どちらかのカラーの紙のチケットを自由に選んでもらいます。手に取ったカラーの大学が勝てば、そのチケットは受験のお守りになるし、負けてしまったら……試合会場に設置してあるブースに、神社のおみくじのように結んでもらえたらなと思っています。小中高生は入場無料なのですが、小中高生にリーチすることは、子どもにサッカーをやらせていて、なおかつ「早慶を意識させたい」と思っている保護者の方にとっても良い機会になると思うので、ぜひ友達や親御さんと一緒に来ていただければと思います。

――そのようなアイデアはどのように練っているのですか?
渡辺  会場の等々力陸上競技場を満員にすることを目指す上で、小中高生は5400人くらい呼びたいと思い、メンバーみんなでアイデアを出し合いました。この「5400人」という数字は僕が決めたのですが、水曜日開催だった昨年のデータを元に、土曜開催の場合の予測を立てました。昨年の小中高生の観客数は811人だったので、それを5400人に、同じく大学生は7429人から13200人に、社会人の方は3500人から7400人への増加を目指していて、一番可能性を秘めているのは小中高生かなと思っています。

――なかなか大きな数字ですが、それだけ目標である「満員」を意識しているのですね。
渡辺  そうですね。また、大学生へのリーチはやはり手売りが一番強く、新たな施策を練るのは難しいのですが、その分、「捌け数」に対する「見に来る率」は高いので、サークルやゼミ、研究会をリストアップしてしっかりとリーチを行い、SNSなども利用しながら「みんなで早慶戦に行こう」というムードを作っています。

――『ユニサカ』で制作した早慶戦グッズの反響はいかがですか?
渡辺  モデルの森星さんにデザインしていただいたグッズもあるのですが、森星さん自身がSNSで紹介してくれたこともあって、結構大きな反響がありました。森星さんはすごく人気のある方ですし、慶應OGということで今回の企画も「慶應を応援するために」と快く引き受けてくださって、本当に感謝感激です。

――早慶の学生や卒業生が持つ母校愛は少し特殊なものなのかもしれません。
渡辺  確かに、母校愛はすごく強いですね。特に慶應はファミリー感がありますし、仲間意識は強いと思います。そこを生かすために、当日は『クラシコパーク』という、川崎フロンターレの『フロンパーク』を真似た大々的なイベントブースを出し、ステージ企画や飲食店など、試合以外の至るところで早慶対決を行います。例えば、『ドミノ・ピザ』さんの協力の下、早慶それぞれをモチーフにした2種類のピザの売り上げ対決を実施します。

――早慶戦が持つ魅力についてどう感じていますか?
渡辺  今、スポーツ庁も大学スポーツの振興を掲げている中で、理想に一番近い絵が早慶戦にあると思っています。大学サッカーのリーグ戦やインカレはそれほど集客が見込めないですし、野球やラグビーは観客数は多いですが、一般の野球ファン、ラグビーファンの割合が高いです。それが悪いわけではないのですが、やはり大学スポーツは学生がたくさん見に来るべきだなと考えています。そういう意味でサッカーの早慶戦は学生の間で話題性が高いですし、見に来る方々の大半はサッカー自体にはあまり興味がないと思うんですよね。それでも全然良くて、友達や仲間と一体となって応援する楽しさを感じてもらえたらうれしいし、それが大学スポーツの一番の魅力かなと思っています。そして、これからはもっと地域の人たちにも見に来てもらえるようにしたいですね。今回、クラシコパークの中で子ども向けのサッカー教室を企画しているのですが、等々力の周辺である川崎市中原区の子どもたちや、早慶のグラウンドがある日吉と東伏見の周辺の子どもたちを対象にしています。

――Jクラブが取り組んでいるような地域密着の形に近いですね。
渡辺  そうですね。スポーツを通じて学生と地域の方々が交流を持ち、良い関係性を保っていければいいなと思います。

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最終更新:7/14(金) 22:44
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