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英米超えた貧富の格差-香港の忘れられた働き手は「紙皮婆婆」

7/14(金) 13:59配信

Bloomberg

中国への返還から20年。中国本土の急成長と共に途方もない富を蓄え、アジアの金融センターとして豊かになった香港。その街角で朝早くから段ボールを拾い集めてはリサイクル業者に1日当たり2.60米ドル(約250円)相当で売り歩き、生活費を稼ぐ女性たちがいる。

彼女らは「紙皮婆婆」と呼ばれ、非政府団体の推計によれば、その数は5000人に上る。香港の路上でよく見かける「フェラーリ」と「ランボルギーニ」、「ロールス・ロイス」を合わせた台数より40%近く多い人数だ。標準的な指標によれば、香港の所得格差は一段と広がっている。2017年には記録を更新し、アジア最大。英米よりも貧富の差が大きい社会となった。

広東省の農民だったフォク・メイスンさんが香港にやって来たのは、もう20年近く前だ。本土に多くの製造業が移転し、建築ブームで広大な農地が、拡大しつつあった中間所得者層のための住宅地に変貌し始めていた時期だった。フォクさんによれば、かつての本土の隣人らは農地を手放すことで多額の対価を不動産開発業者から受け取り、今は彼女よりはるかに豊かな生活をしているのだという。

67歳のフォクさんは、香港社会における経済機会分断を象徴するような存在だ。6月下旬、彼女のような仕事をしている75歳の老人が食物環境衛生署の職員に拘束され、これに対し抗議活動が拡がった。英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によれば、一枚の段ボールを1香港ドル(約15円)を無許可で売ったためで、この違法行為は5000香港ドルの罰金処分に相当する。食物環境衛生署は結局、検察当局と協議の上、老人の身の上を考慮して容疑を取り下げた。

香港大学秀圃老年研究センターの責任者を務める林一星教授は、「この美しい町づくりを支えてきたのがこうした老人たちだ。集めた段ボールをわずかな値段で売って生活を支えることしかできない忘れられた働き手だ」と語る。

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最終更新:7/14(金) 13:59
Bloomberg