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生活困窮家庭の子ども 学習支援、広がる輪

7/15(土) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

生活困窮家庭の子どもの学習をサポートしようと、結城市は行政、教育、地域の三位一体で学習支援事業に取り組んでいる。2015年に始まった国の「生活困窮者自立支援制度」の一環で、自治体が無料で勉強を助ける。対象は小学4年生から高校生までと幅広い。貧困には複雑な問題が重なっており、事業を通じて関係機関が情報共有の輪を広げながら、地域全体で子どもの見守りにつなげたい考えだ。 (筑西支社・平野有紀)


「次、解いてみようか」「うん」「ここはこう解くといいよ」。

結城市内で毎週月曜の夕方開かれる学習支援教室。小学生の部、中学・高校生の部の2教室があり、1時間半、子どもたちが宿題などに取り組む。

対象は生活保護世帯と準要保護世帯で、1教室の登録は15人。スタッフ3人が疑問点など個別に答える。昨年から通う中学3年の女子生徒は「苦手な数学と英語も分かりやすく教えてもらえるので助かる」と笑顔を見せる。

同市は、運営を民間団体「栃木県若年者支援機構」(宇都宮市)に委託し、16年4月に事業を始めた。家庭の経済状況が進路に与える影響は大きく、進学などへの助言や学習意欲の向上を目指している。

今春、中学3年だった3人全員が高校に進学。2人が引き続き教室に通う。国が事業を通じて高校進学を目標に掲げる中、市社会福祉課は「進学を前提に、高校卒業後の就職や進学の選択肢が増えるように応援したい」として、高校3年生までカバーする。

▽学校と連携
大切にするのは情報共有だ。支援教室と市の担当者が年3回、生徒の通う学校を訪ね、学校での様子や要望を聞き、学習支援に反映させる。栃木県内5市町の事業も受託する同機構の中野謙作代表理事は「授業を補完するには教育委員会などとの連携は欠かせず、結城では非常に良い連携が取れている」と話す。

教室は夜8時近くまで及ぶため、軽食も提供する。市内の女性農業グループと協定を結び、食材の提供を受ける。6月末の教室には、農業後継者でつくる4Hクラブから結城特産のトウモロコシが届いた。休憩時に頬張ると、会話も弾んだ。市側の担当者、自立相談支援員の男性は「単に勉強を教えるだけでなく、子どものわずかな変化を見てケースワーカーにつなぐなど、総合的に見守ることが事業の根底にある」と話す。

▽課題は継続
課題は子どもたちの学習継続。休みがちな子もいるため、「現在の出席率60%は維持したい」(同課)。通信添削や高校受験前の集中講義、夏休み中などの教室の時間拡大などにも応じている。

自治体の学習支援事業は導入から3年を迎え、県内でも広がりつつある。

県福祉指導課によると、県内で実施するのは17市。町村は県が実施主体で、本年度には全12町村で事業が始まる見込みだ。

同課は「学習の場を提供し、自立のきっかけをつくることが大切。制度の定着や拡大が求められる」として、さらに支援に力を入れる考えだ。

茨城新聞社