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長崎ルートFGT困難に「フル規格新幹線に転換を」

7/15(土) 7:55配信

産経新聞

 九州新幹線長崎ルートに採用予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)に関し14日、導入計画の遅れが決定的となった。沿線からは、鹿児島ルートと同じ全線フル規格を求める声が高まる。安全やコスト面の不安に加え、FGTは新幹線最大のメリットである時間短縮効果も低い。政府・与党には、佐賀県の財政負担を軽減した上で、長崎ルートのフル規格化への決断が求められる。 (高瀬真由子)

 「これを機に、私たちが求めているフル規格へ、大きく舵を切ってほしい」。長崎県議会の建設促進議員連盟顧問で、県議会議長の八江利春氏は14日、こう語った。

 この日開かれた国土交通省の専門家委員会では、性能試験で、台車の車軸に摩耗が見つかったとする結果が報告された。予定されていた平成34年度の先行車導入は困難となった。

 現在、FGTには不安要素しかない。

 26年に、耐久走行試験が開始されたが、車軸などの不具合が判明した。乗客の安全輸送を使命とする鉄道事業で、技術・安全面で不安のある車両は採用できない。

 さらに、車両の維持コストも、通常の新幹線に比べ1・9~2・3倍に上る。

 こうした点から、JR九州内でも、導入に否定的な意見が強い。

 時短効果もFGTは低い。

 博多-長崎間は現行の特急では1時間48分かかる。FGTでは1時間20分程度と、30分ほどしか短縮効果はない。

 さらに山陽新幹線への乗り入れに、JR西日本が難色を示す。

 最大の理由は“遅い”からだ。FGTは新幹線区間で時速270キロしか出せない。山陽新幹線は時速300キロ時代を迎えた。30キロも遅い車両が入っては、ダイヤ編成が難しくなる。

 その上、FGTは車両が重く、線路や鉄橋に負担をかける。

 現状を考慮すれば、FGTは、山陽新幹線に乗り入れられない。

 こうしたFGTにこだわり、長崎ルートの開業時期そのものを遅らせるよりは、ノウハウも蓄積されたフル規格新幹線を導入する方が、メリットは大きいといえる。

 与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム検討委員会の松山政司委員長は「FGT導入の可否を含めた、長崎ルートの整備方針を決めたい」と述べた。

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 長崎ルート全線のフル規格化について、最大のハードルは、約800億円に上る佐賀県の新たな財政負担だ。

 佐賀県の一般会計規模は4300億円。6月の県議会特別委員会で、佐賀県の担当部長は「全線フル規格化した場合、新たな財政負担800億円を、県は抱えきれない」と主張した。

 ただ、山口祥義知事は、負担が増えなければ議論のテーブルに着く考えを示唆する。今月13日の記者会見では、「頭がいっぱいなのは、暫定開業時に、どれだけ多くのお客さんに来ていただけるか。国との関係においては、(専門家)委員会の評価を注視したい」と述べるにとどめた。

 佐賀県議会からは、財政負担軽減の検討を求める声があがる。

 自民党県連会長の留守茂幸県議は「今までと違う財政負担のスキームが出てくれば、議論の対象になる。これまでと同じなら、しばらくは(在来線と新幹線を乗り継ぐ)リレー方式でということになるだろう」と語った。

 全線開業した鹿児島ルートをみれば、フル規格新幹線の効果は大きい。長崎ルートも、九州地域にとってメリットを最大化しなければならない。

最終更新:7/15(土) 7:55
産経新聞