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サニブラウン 世界陸上前の合宿不参加は英断かワガママか

7/15(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 それを「ワガママ」と言うのはおかしい。

 陸上の日本選手権で、100メートルと200メートルの2冠を達成したサニブラウン・ハキーム(18)が、7月中旬に山梨県内で実施される世界陸上(8月4日開幕=ロンドン)の男子短距離代表合宿に参加しないことになりそうだ。

■リレーより個人種目

 その一報を聞いたスポーツライターの高野祐太氏は「英断だと思います」と言ってこう語る。

「この合宿は、リレーのバトン練習に重点が置かれていたが、例えば北京やロンドン五輪の頃は、リレーでメダルが取れるかもしれないということで事前合宿の練習でバトンパスの時間を短縮することは意味があった。9秒台の選手がひとりもいない日本が、リオ五輪の400メートルリレーで銀メダルを取れたのも巧みなバトンパスがあったからです。今はサニブラウンやケンブリッジ(飛鳥)などが個人種目で100メートルのファイナルを狙えるところまできた。合宿には参加せず現地で個人種目の調整を優先するのは賢い判断です。」

 とはいえ、伝統を重視する陸上関係者の中からは、「合宿に参加しないサニブラウンはわがままだ」という声が上がってもおかしくない。これまでの日本の選手なら自分の練習は二の次にして、海外から帰国して合宿に参加したかもしれない。しかし、サニブラウンはガーナ人の父を持つハーフだ。欧米各地で練習を積み、今秋から米・フロリダ大学に進むグローバルな視点を持つ。

 前出の高野氏はこう続ける。

「サニブラウンの合宿不参加が正式に決まれば、日本陸連は今後あり得る状況に備えて、合宿地について色々なプランを考えておくべきです。例えば、ケンブリッジも活動拠点を米国に移すために準備している。今のサニブラウンのように、将来は海外で練習したり、欧米のクラブに所属する選手が増えるかもしれません。そんな選手たちが代表に複数選ばれたとき、日本で合宿をすることは合理的ではない。個人種目で決勝を戦えるレベルになれば海外で合宿をやったり、合宿そのものを止めてジャマイカや米国のように、五輪や世界選手権の大会会場での調整だけで対応することも視野に入れておくべきです」

 世界の頂点を狙うサニブラウンは、陸上界の「慣例」さえも変えるかもしれない。