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<Y!ショッピング>なぜ「ステマ批判」が起きたのか

7/15(土) 9:30配信

毎日新聞

 ヤフージャパンが運営する「ヤフーショッピング」が先日、広告の表示問題で注目を集めました。ステルスマーケティング(宣伝と気づかれずにPRする行為)ではないかと批判が起きたのです。ジャーナリストのまつもとあつしさんが解説します。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇発端は朝日新聞の報道

 ヤフーショッピングは、同業のアマゾンや楽天などの競合サイトと異なり、出店料や売上手数料無料を打ち出しています。2013年10月にこの方針を掲げて以降、出店数は約16倍に、商品数は約3倍に拡大しました。今年2月に発表した2016年度第3四半期決算で、年間取扱高は約1400億円超でした。

 発端は、朝日新聞6月28日朝刊1面の報道です。「料金払うとおすすめ上位」という見出しで、出店者が広告料を多く支払うと、商品に「広告」と表記しないまま、検索結果の「おすすめ順」上位になるよう優遇している、と報じました。

 ヤフーでは、出店者向けに「PRオプション」という仕組みを導入しています。あらかじめ商品販売額の1~30%を広告料として支払うと約束した出店者の商品が、割高でも検索結果の上位に表示されるようになっているのです。

 記事では、ヤフーの別所直哉執行役員が取材に応じ、「サイト全体が広告の位置づけ」「カタログなどと同じで、個別に広告と表示する必要はない。ステマにはあたらない」と回答したことも報じています。それでも、記事を見た専門家や一般の人からネット上で、「ヤフーが“ステマ”を推奨している」と批判が起こりました。

 「ステマ」とは、ステルスマーケティング(宣伝と気づかれずにPRする行為)の略です。例えば、ニュースメディアやブログなどが消費者に「広告」であることを明示しないまま、記事で商品やサービスを推奨する行為です。

 現在ヤフーは、出店者向けの広告案内ページにあった次の説明を、「不適切だった」という理由で変更しているようです。

 「通常の検索結果と差異のないデザインで表示されるため、『いかにも広告』という印象を与えずにお客様にアピールできる」

 この問題の背景を、「『広告』表示は必要か」「ヤフーの説明は適切か」の二つのポイントから考えます。

 ◇ステマのガイドラインには該当しないが……

 まず、「『広告』表示は必要か」を考える際、ヤフーショッピングが通販サイトであることを考慮する必要があります。先の「ステマ」には、二つの問題が指摘されてきました。

 一つは、ニュースメディアやブログの問題です。ニュース提供もするヤフーが加盟する一般社団法人日本インタラクティブ広告協会は2015年、記事の体裁をとった広告(ネイティブアド)に関するガイドラインを定めました。広告記事の場合、「広告」「PR」の表記をわかりやすい場所に表示するよう求めています。客観的に書かれたニュース、報道記事とは違うことを明示せよ、という趣旨です。

 もう一つは、飲食店情報を提供する「食べログ」のような口コミ投稿サイトの問題です。口コミ投稿サイトでは、飲食店側が専門業者に金銭を支払い、意図的に高評価のレビュー(批評)を投稿させ、ランキングを操作する行為が問題化しました。消費者庁は12年に改定したガイドラインで、景品表示法上の問題があるとして、一般消費者に誤認されないようにする必要がある、としています。

 では、ヤフーショッピングが「広告」と表示しないことは、「ステマ」にあたるのでしょうか。上記二つのガイドラインに照らせば、該当しないと判断できます。広告記事や金銭の支払いを伴う「やらせ口コミ」で、消費者に商品やサービスが優良であると誤認させているわけではないからです。

 ◇ヤフーの説明は適切だったのか

 次に、「ヤフーの説明は適切か」です。今回のケースはステマに該当しませんが、問題がないとはいえません。問題を指摘されたヤフー側の説明も適切ではありませんでした。

 そもそも消費者は、検索結果の表示順位が、広告料の多さ少なさで変わることを知らされていません。出店者向けの広告案内ページで、「『いかにも広告』という印象を与えずにお客様にアピールできる」と説明していたことも、「ステマ」批判の原因になりました。

 ヤフーは問題を指摘されてから、検索結果のランキングの右上に「おすすめ順とは?」というリンクを設けました。そこをクリックすると、画像のような説明が表示されます。ただし、「広告料金の設定率などの各種データを使用」という技術的、抽象的な説明であり、利用者が正しく理解できるかどうかは疑問です。

 またヤフーの別所執行役員は、「サイト全体が広告の位置づけ」「カタログなどと同じ」と答えていました。だからといって利用者は「広告料が支払われた商品が、上位に表示されている」とは捉えないはずです。

 ◇アマゾンや楽天の対応は?

 アマゾンは、広告料が支払われた商品に「スポンサープロダクト」と表示し、楽天も同様の商品に「PR」と表示します。

 ヤフーショッピングは出店料や売上手数料が無料のため、出店者からの広告料収入が収益の柱です。そのため、「PRオプション」などを導入して、広告課金を増やすことを目指していると思われます。

 消費者としては、アマゾンや楽天と比べて、気持ちのよい仕組みではありません。今後の改善に期待したいところです。

最終更新:7/15(土) 9:30
毎日新聞