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打者より投手に責任? ズレてる巨人改造、貧打にあえいでいるのにソコを変えるのか

7/15(土) 16:56配信

夕刊フジ

 首位広島から14.5ゲーム差の4位で前半戦を終えた巨人が13日、ついにシーズン途中のテコ入れに踏み切った。チーフ格の尾花高夫投手コーチ(59)がブルペン担当となり、代わりに斎藤雅樹2軍監督(52)が1軍投手コーチに就任。しかし、低迷の要因はリーグ5位のチーム打率.244などに象徴される“貧打”の方だ。投手陣は健闘している。打撃指導や作戦の担当コーチは手つかずのままの、ピントのぼけた内閣改造で、高橋由伸監督(42)就任2年目のチームは浮上できるのか。(笹森倫)

 前日(12日)に高橋監督から前半戦報告を受けた老川オーナーの発言は何だったのか。

 「非常に苦しい中で、みんなよく頑張ってくれている。一足飛びに1位というのは現実にはない。みんな力を合わせて1つずつ、頑張って勝っていく。特別そのために、ああしよう、こうしようという話はなかった」。そう語っていたが、一夜明けてコーチ陣の異動が発表された。

 就任1カ月の鹿取義隆GM(60)は、都内の球団事務所で「狙いはこれから先チームが浮上するための配置転換」と説明。「これまでカープ戦が3勝11敗。そこが(勝率)5割なら(チーム成績は)こうはなっていない。スコアラーの強化を図る」との目的で、ブルペン担当の田畑一也投手コーチ(48)を広島の専従スコアラーにあてる。

 空席となったブルペン担当には尾花コーチが横滑り。鹿取GMは「後半の7、8、9回は特定の投手はいいが、尾花さんにしっかり見てもらって強化したい。先発3本柱はしっかりしているが、4、5番手のときの継投が課題」として、勝ちパターン継投以外の救援陣の底上げを託す考えだ。

 新たなチーフ格の投手コーチには、イースタン・リーグで奮闘中だった斎藤2軍監督が昇格する異例の人事。鹿取GMは「2軍の選手を見てきているので、(1軍に)上げることもすぐできる」と投手指導にとどまらない波及効果を期待する。

 つまり今回の内閣改造は、苦手の広島に対抗するための偵察部門強化が第一義というわけだが、額面通りには受け取れない。田畑コーチをスコアラーに回すにしろ、尾花コーチをチーフ格から外す理由にはならない。1軍首脳陣の欠員補充に、2軍の指揮官を引っ張り上げるという筋立ては、さすがに無理がある。

 真の狙いは何か。夕刊フジ既報通り、首脳陣の間のコミュニケーション不足はチーム低迷の要因となっている。高橋監督と尾花コーチの連携が、問題視されたとみるべきだろう。指導者経験がほぼないまま就任した高橋監督の片腕として、門外漢の投手部門に尾花コーチが据えられたのは、複数球団でさまざまな指揮官に仕え結果を出した経験が買われてのこと。だが理論派の尾花コーチがまとめた投手陣のデータには、感覚派の高橋監督がさしたる興味を示さないなど、就任当初から野球観のズレは埋まらなかった。

 それでも尾花コーチが整備した投手陣は、セ・リーグでも上位の結果を残してきた。チーム防御率3・48はリーグトップ阪神の同3・20、2位広島の同3・30に次ぐ3番手。先発投手が試合をつくった目安の指標「クオリティースタート(QS=6回以上投げ自責点3以下)」はこれまで47試合を数え、達成率は57・3%。これはトップ広島の53試合、同63・9%に次ぐ2番目の高水準だ。

 ところがQSが達成された試合の勝率は、広島がリーグトップの・745(38勝13敗2分)に対し、巨人は同4位の・660(31勝16敗)と大きく水をあけられている。つまり好投の先発陣を打線が援護できず見殺しにする構造にこそ、今のチームの病根がある。

 1試合平均3・37得点、チーム打率・244、チームOPS(=出塁率+長打率)・663はいずれもリーグ5位。だが攻撃面の指導体制にメスは入らず。鹿取GMは「陽、長野がよくなり、(打線の)状態がよくなっている。現状のコーチでより一層、指導してもらう」として、打線の復調を見込んでいる。

 目に見える数字の観点からいえば、打者より投手に責任の所在を求める内閣改造には、首をかしげざるを得ない。むしろ鹿取GMが斎藤新コーチについて冗談交じりに、「明るいキャラクターなので、ベンチの雰囲気も変わるんじゃないか」と寄せた期待にこそ、今回の人事の本質があるのかもしれない。今春キャンプの覇気のなさはOBに酷評された。一方で同じ敷地で同時期に行われた2軍キャンプは、斎藤監督が率先して声を出し、明るさの中にも緊張感があって、好評を博した。

 とはいえ、チーム浮上のカギが明るいベンチだとすれば、それはそれで次元の低い話だ。

最終更新:7/15(土) 17:01
夕刊フジ