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札幌市の五輪招致、お金かけずに果報を寝て待つ手も

7/15(土) 10:05配信

朝日新聞デジタル

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長がラブコールを送った。11日、IOC臨時総会のスピーチで冬季五輪に触れた場面だ。

【写真】1972年に開かれた札幌オリンピック冬季大会の開会式

 「2014年、18年、22年大会は冬季競技の新興地域が舞台だ。そして、この傾向は今後も続くと思われている」

 冬季競技の裾野を広げる意義を認めつつ、一方で、目の肥えたファンがいる本場での開催も望みたいという思いを、続く言葉ににじませた。

 「IOCとしては、米大陸、欧州、アジアの伝統的に冬季競技が盛んな地域での開催を大いに歓迎したい」

 寒冷地での開催という条件が付く冬季五輪の招致レースの冷え込みは、夏季以上に深刻だ。22年大会は欧州勢が相次いで離脱し、最後は北京とアルマトイ(カザフスタン)との一騎打ちで決まった。

 14年にカナダ・ウォータールー大の研究チームが発表した報告書は、冬季五輪の危機を暗示した。このまま温暖化に歯止めがかからないと、ソチ(ロシア)までの19の冬季五輪開催都市のうち、2080年代にスキーなどの雪上競技を安心して開けるのは、札幌市など6都市に減るという衝撃的な警鐘だった。

 26年大会はシオン(スイス)、カルガリー(カナダ)、インスブルック(オーストリア)に加え、札幌市も2度目の招致をめざしている。

 18年平昌(ピョンチャン、韓国)、22年北京につづく3大会連続の東アジア開催は常識では考えにくい。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長に聞くと、「難しいですが、世界情勢を見極め、いつでも立候補できる立場にいるのが大事です」。住民投票で反対派が上回り、欧州の都市が次々と断念に追い込まれた昨今の事例を念頭に置いた発言だ。

 長野がソルトレークシティー(米)と争い、華美な接待がのちに批判を浴びた1998年大会のような時代ではない。IOCは立候補都市の負担軽減のため、招致期間の短縮、手続きの簡素化を決めた。

 札幌市は昨秋、招致経費を28億円と試算したが、それだけの金額を使っても、一発当選は難しいのが現実。また、今年2月に冬季アジア大会を成功させ、大会の運営能力はすでに実証されている。

 そうであれば、招致活動にあまりお金をかけずに、他都市が降りたら引き受ける。そんな果報は寝て待て、のスタンスで構えたらどうか。(編集委員・稲垣康介)

朝日新聞社