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「加計」疑念拭えず=前川氏初答弁で激突-野党追及、長期戦も〔深層探訪〕

7/15(土) 8:24配信

時事通信

 獣医学部新設に向けた指示が首相官邸の中枢から出され、行政がゆがめられたのか-。学校法人「加計学園」をめぐり、衆参両院で行われた閉会中審査は10日、前川喜平前文部科学事務次官と政府側の主張が真っ向から対立した。欧州訪問中の安倍晋三首相は不在で、安倍官邸がもくろむ加計問題の幕引きは容易ではなさそうだ。

前川氏「合理的説明なし」=政府側「公正中立な決定」

 ◇官邸が無理強い
 「非常に無理を強いられている。無理が通れば道理が引っ込むという世界に押し込まれている」。この問題で参考人として国会で初答弁した前川氏は、在職中に官邸側から文科省が強い圧力にさらされていたことを、不満を込めながら指摘した。

 前川氏は退官後、加計問題で積極的に取材に応じ、「行政のゆがみ」を告発してきた。冷静な口調ながら、政府内で学部新設の対象が加計学園に絞られた経緯について「ブラックボックス化されている。非常に不透明だ」と官邸批判を展開した。

 ◇萩生田氏らの関与焦点
 焦点となったのは、首相の友人が理事長を務める同学園の学部新設に、萩生田光一官房副長官や和泉洋人首相補佐官ら官邸中枢がどう関与したかだ。

 前川氏は、萩生田氏が「私の方で整理しよう」と発言したとされるメモを「本物」と断定。「和泉補佐官がさまざまな動きをしていた」と語るなど、官邸の関与があったことをうかがわせた。

 これに対し、萩生田氏は「つまびらかに発言した記憶はない」と否定した。菅義偉官房長官は「和泉氏からは『首相から指示を受けたことも、文科省に指示したこともない』と報告を受けている」と擁護し、両者の主張は平行線をたどった。

 与党は、前川氏に対抗しようと、政府の国家戦略特区ワーキンググループの原英史委員らを参考人に招いて反論も試みた。原氏は「加計ありきという指摘が全くの虚構であることは、公開されている議事録を見ればすぐに分かる」と指摘した。

 ◇与党に危機感
 官邸サイドは「丁寧な説明」に努める姿勢をアピールしつつ、早期の幕引きを図りたい考えだった。これを忖度(そんたく)する自民党の竹下亘国対委員長も記者団に「あのレベルの議論だったら国会ではなく別のところでやればいい」と、首相が出席しての予算委員会集中審議などには応じない考えを示した。

 しかし、与党内の雰囲気は違う。東京都議選で惨敗した自民党幹部の一人は、首相出席の質疑について「受けないと逃げたと言われる」と懸念。公明党幹部も「竹下さんは感受性が悪すぎる。国民の不信を払拭(ふっしょく)するには、首相自身が説明するしかない。内閣支持率が30%台になっていることを深刻に受け止めるべきだ」と忠告する。

 民進党は安倍内閣への厳しい世論を背景に萩生田、和泉両氏や加計孝太郎学園理事長の証人喚問も求めた。蓮舫代表は記者団に「丁寧に説明する姿勢が全く感じられない。むしろ疑惑は深まった」と攻勢を強めた。

 「(議論は)水掛け論だ。当分終わらない」。首相は来月3日にも内閣改造に踏み切り、政権立て直しを図りたい考えだが、首相の周辺からも問題の長期化を覚悟する声が出ている。

最終更新:7/15(土) 12:46
時事通信