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虐待防止、迫真訓練 チェーン切断し「臨検」 法改正うけ迅速化 群馬

7/15(土) 7:55配信

産経新聞

 ■昨年の相談1132件、9年連続で増

 増加する家庭内などでの児童虐待防止に向け県と県警は児童虐待対応訓練を行い、児童相談所(児相)なども加わり、前橋市の県警察学校で34人が参加した。昨秋施行された改正児童福祉法で令状による強制立ち入りまでが簡素化されたことを受け流れを確認、子供を守る迫真の訓練が展開された。

 訓練は平成20年に始まり10回目だが、法改正を受け訓練では不審な保護者を取り押さえ、女児を保護する一連の流れが確認された。

 「1カ月前から兄だけが保育園に登園し、妹は全く来なくなった」という保育園から児相への通報を想定。児相職員が家庭訪問するも両親が拒否し、女児に面会できない。調査の結果、虐待の可能性が高いと判断、緊急を要するため裁判所へ令状を請求、ドアを解錠し女児を探す「臨検・捜索」を行った。

 法改正により両親の同意が得られなくても虐待を疑われる場合、令状を請求する前の段階で両親に出頭を求める必要がなくなり、より迅速な対応が可能となった。実際に臨検を県内で行った例はなく、全国でも数件程度だ。

 県警少年課の捜査員が扮する両親は児相職員の問いかけを拒否したため、令状の発布を通知し、解錠の上、ドアチェーンを切断した。職員らが入室すると、父親は激怒し、「令状があればなんでもできるのか」「子供は転んでけがをしただけだ」と叫び、ペットボトルを投げるなど抵抗し、警察官に取り押さえられるまで抵抗を続けた。

 児相職員は訓練後、「窓が開いていたので(逃げられるのではと)困惑した」「父親を抑える役、母親を説得する役など分担したので専念できた」などの感想を口にした。

 一方で母親役の捜査員は児相職員が母親から目を離したことに注目し、「間取りをみれば勝手口もある。逃げられるかもしれない。目を離すのはリスキーだと理解してほしい」と指摘した。

 県内の児相には昨年1年間で1万292件(前年比798件減)の相談が寄せられ、虐待に関するものは1132件(同44件増)に上った。虐待相談は20年以降、9年連続で増加している。一昨年度は実際に690人の子供を親から離す、中央児童相談所(前橋市)の一時保護所で預かるなどの具体的措置をとった。

 虐待に至る親は「孤立しがちで、問題を抱え込む」(中央児童相談所)という。虐待相談は昨年度、県警(234件)に次いで、近隣住民(226件)からが多いだけに、地域でも子供を見守る目を光らせたい。(吉原実)

最終更新:7/15(土) 7:55
産経新聞