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【ハイ檀です】たくましいキュウリ

7/15(土) 7:55配信

産経新聞

 いやはや、天候不順の恐ろしさには抗うことは出来ない。2週間ほど前には梅雨が明けるかも、などという天気予報をテレビで報道していた。にもかかわらず、数日後には福岡地方を猛烈な雨が襲ったのである。線状降水帯という聞きなれない気象用語を用いる若い気象予報士は、コメンテーターに突っ込まれ、その説明に苦慮していた。

 ともあれ、我が家から直線距離で南東に50~60キロ離れた、『3連水車』で有名な朝倉から大分の日田にかけては大被害。線状降水帯というのが停滞し、未曾有の大雨を降らせたのだ。線状降水帯というのは、その日の低気圧や梅雨前線の位置により、微妙に位置が移動したり帯が数本出来ることがあるという。この為、福岡から熊本にかかったり、東へ移動して大分地方にも甚大な被害を与えている。

 1時間の降雨量が130ミリだったり、24時間の降雨量が300ミリを超えてしまったり、通年の梅雨の時期の1カ月分の雨が一晩で降ったそうだから、激甚な災害と相成った訳だ。それにしても、今回の水害やがけ崩れを見てみると、倒木が流されてそれが雨水を堰き止めて川の氾濫(はんらん)を引き起こしている。考えて見たら、被害の大きかった東峰村などは杉の生産地として有名。しかし、杉の根の下の土壌はマサ土とか真砂土と呼ばれる、花崗岩が風化して出来た土で粘土質にも変化している。こうした土は大量の雨が降ると、岩盤とは違い簡単に崩壊すると言われている。

 ここ数年の間、日本列島には、いや世界のあらゆるところに様々な災害が降りかかっている。地震や火山の噴火は、地球の営みの一つであるから致し方ないとしても、異常気象による災害は100年ほど前から徐々に高まりつつあり、その原因は地球温暖化の影響であると、多くの学者は警鐘を鳴らし続けている。また、世界の国々はこの地球規模の危機から地球を守る為に集い、京都議定書やパリ協定を批准しかかっても、アメリカのトランプ大統領の不可解な発言があったりして、世界が一つにまとまらずにいるのは、残念な話。100歳まで生き抜いたとしても、僕の余生は30年にも満たない。この間に地球は滅亡してしまうとは思わぬが、孫の時代の地球はどうなっているのであろうか…。

 わずか50キロ離れた地域が大災害だというのに、我が家の周辺は多少雨が多かったかな、という程度で済んだ。しかし、全く被害がなかったというわけではない。中国の乾燥地帯を原産地とするスイカは、長雨にたたられて根腐れ病を起こして枯れた。トマトの一部も、青枯病に。そんな中で元気の良いのは、サトイモとショウガ。もともと水分の多い場所が大好きな植物だから、多少の雨は物ともしない。トマトの一部が枯れてしまったので、すぐ近くに植えたキュウリが心配であったが、こちらは何とか生き抜いてくれている。

 キュウリは長雨を物ともせずに黄色い花を健気に咲かせ、必死に生き延びようとしていた。雨の間は、残念ながら花は咲いても実はつかなかったようである。これは、花粉を媒介して受粉を促してくれる、蜂や小さな昆虫が雨で訪れなかったからであろう。スイカやカボチャのような植物も、運が良ければ自然交配をしてくれる。早起きをして花が開く時を見計らい、開いた雄しべの花を丁寧に取り、この中心を雌しべに優しく触れて受粉させる。面倒ではあるけれど、この方法で育てた方がより確実なようである。また、受粉させた日時を記録しておけば、スイカやカボチャの収穫時期の目安になる。スイカであれば、受粉させた後、40~45日が収穫の目処(めど)という。

 それに比べると、キュウリは大変に判りやすい。花の根元に、1、2センチの可愛いキュウリが付いている。これが日に日に大きくなり、食べられる大きさを確認したところで摘果すればよいわけだ。が、雨が降って、一日畑に行けなかったりすると、一夜にしてキュウリは巨大化する。こんな時には、鶏のスープの中に少し大きめに切って入れ、柔らかく煮込んでから味わう。ともあれ、愛らしい黄色の花のキュウリ、夏の食卓には欠かせない有難い食材である。

最終更新:7/15(土) 7:55
産経新聞