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東京五輪、核テロ防げ 原子力機構が新技術研究

7/15(土) 7:55配信

産経新聞

 ■空港手荷物検査で検知/データ登録、盗難時照合

 放射性物質を使った核テロを防ぐため、空港の手荷物検査で核物質を検知する装置や、結晶構造などが個々に異なっている核物質の“指紋”(特徴)をデータ登録して不正な拡散を防ぐ技術を、日本原子力研究開発機構(茨城)が開発している。2020年東京五輪・パラリンピック開催を見据えており、同機構は「実用化に向け、備えを加速していきたい」としている。

 同機構によると、国内の空港で主に行われているエックス線検査では金属物を見つけることはできるが、核物質には反応しないため、荷物を開けて目視で探さなければならない。

 核物質が空港の検査などをすり抜けていたことが発覚した例は多く、1994年にはドイツ・ミュンヘン国際空港で、モスクワ発の民間機からプルトニウムとウランの混合粉末が発見され、運び屋のスペイン人らが逮捕された。2010年には東欧のモルドバで、同国内に約1・8キロのウランを持ち込み、国外へ売ろうとしていた犯罪グループが摘発された。10億円近く(当時の価格)で販売するつもりだったという。

 核物質があれば、核兵器を製造できる高い技術や資金がなくても、爆薬で放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」をつくることができる。運ぶ際には被曝(ひばく)防止のため、鉛を使った容器に核物質を保管しているとみられるが、モルドバのケースでは放射線の防護措置がとられておらず、検査する職員らに影響を及ぼしかねないケースもあった。

 同機構が開発しているのは手荷物内の放射性物質を検知する装置で、空港の手荷物検査装置と同じような形状。中性子線やガンマ線を照射することで核物質が核分裂反応し、放射線や中性子の放出が活発化されたところでセンサーで検知する仕組みだ。周囲に放射性物質が飛散するほどの強い照射はしないため、検査によって被曝する恐れはないという。

 同機構は核物質が盗難被害などに遭った際の対策も進めている。核物質は結晶構造や粒子が個体ごとに異なるため、それらのデータを「核の指紋」として一括登録。不正な持ち出しや紛失、盗難などが発覚した際に、照合することで出どころが分かるようにするという。国内の原子力関連施設が保管する核物質のデータベース化も進めている。

 同機構は「多くの外国人が来日している中、核物質が運び込まれるケースも想定する必要がある」と警戒を強めている。

最終更新:7/15(土) 17:18
産経新聞