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<劉暁波氏死去>中国、墓の聖地化を警戒 海に散骨

7/15(土) 23:28配信

毎日新聞

 【瀋陽(中国遼寧省)林哲平】中国の民主活動家で13日に死去した劉暁波氏の遺体が15日朝、瀋陽市の葬儀場で火葬され、その後約400キロ離れた大連市沖で散骨された。記者会見した瀋陽市当局は、火葬と散骨は「家族の希望によるもの」だとした。死亡する直前まで投獄してきた中国に対し各国から非難が強まる中、早期に幕引きを図るとともに民主化運動の「聖地」になりかねない墓を造らせない中国政府の思惑があるとみられる。

 市によると、15日午前6時半(日本時間同7時半)から葬儀が行われ、妻の劉霞さんや兄、弟ら親族や友人が参列。葬儀で劉霞さんは劉氏の遺体をじっと見つめ、火葬後に遺骨を受け取るとしっかりと腕に抱きかかえたという。正午には船上から散骨され、参列者が最後の別れを告げた。

 15日夕には同市当局が主催する記者会見に劉氏の兄、暁光さんが出席。暁光さんは海での散骨について、別の親族も散骨したことなどから自身が希望したと説明した。市の担当者も「家族の希望と当地の習俗によるもの」と強調し、「体が非常に弱っている」(暁光さん)ために会見に出席しなかった劉霞さんが散骨に同意したとするメモなどを公開した。中国は火葬や土葬が多いが、最近は土地不足などを背景に海での散骨も一部で行われている。

 複数の支援者によると、家族は海への散骨に難色を示し、一定期間の遺体の保存を求めていたとの情報もある。しかしノーベル平和賞を受賞した劉氏の墓が民主化運動の新たなシンボルになることを強く警戒する中国政府が押し切った形だ。

 暁光さんは「弟の特殊な状況について、人道主義的精神を表してくれた党と政府に感謝したい」と述べ、約30分で退席。記者らが「(出国を希望している)劉霞さんは自由なのか」と尋ねたが、当局者に囲まれて無言で立ち去った。

 霞さんは友人ら外部との接触ができない状態にあり、欧米からも中国政府に解放を求める声が高まっている。中国外務省は「出国できるかは法に基づいて処理する」と表明している。

最終更新:7/16(日) 18:05
毎日新聞