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稼げれば何でもありなのか 西田敏行さん、スマイリーキクチさん…有名人を襲う事実無根のネット中傷

7/15(土) 10:42配信

産経新聞

【衝撃事件の核心】

 「“客寄せ”になるような記事を集めて、閲覧数を伸ばし、広告収入を増やしたかった」。俳優の西田敏行さん(69)を誹謗(ひぼう)中傷する書き込みや記事を集めてインターネットのブログで拡散し、所属事務所の業務を妨害したとして、警視庁が、偽計業務妨害容疑で40~60代の男女3人を書類送検した。広告収入を目当てに、他人の名誉をいたずらに傷つける悪質な「まとめサイト」。事実無根な情報が飛び交う悪質サイトに、ついに捜査のメスが入った。

 ■読者増やそうと…

 3人の送検容疑は昨年5月ごろ、インターネット掲示板や雑誌などから、西田さんが「違法薬物を使い、日常的に暴力をふるっている」などという内容の記事をまとめて自身のブログに転載、広く周知して所属事務所の業務を妨害した疑い。実際には薬物使用などの事実はなく、警視庁は書き込みは虚偽の内容だと判断した。

 関係者によると、書類送検された3人のうち、中部地方に住む40代の女はブログの広告収入で生計を立てていたという。女は昨年2月に元プロ野球選手が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された事件などを受けて、「芸能人の薬物使用が話題になっていたので、閲覧数が稼げると思った」などと説明、ほかの2人も、中傷記事の転載は読者を増やす意図だったと認めているという。

 ■打ち合わせを延期

 西田さんの事務所は昨年8月に同署に被害届を提出、ホームページに「書き込みは全くの事実無根。刑事、民事の責任追及を進める」などとする異例の告知文を掲示していた。

 「事実無根の話が、ネットを通じてあっという間に拡散した」。いわれのない中傷を受けた西田さんの事務所の担当者の男性は、憤りを隠さない。「黒い疑惑」「薬物使用疑惑」などと題したまとめ記事が広まったことで、仕事の打ち合わせが一部延期になるなど、事務所の業務に深刻な実害も生じた。

 書類送検を受けて、事務所はホームページに掲載していた告知のコメントを更新。「警察の方々に敬意を表します。今後、このような心ない書き込みが無くなることを祈ります」。関係者の切実な願いがにじんでいた。

 ■被害拡大の恐れ

 ネット上の著名人の誹謗中傷の書き込みをめぐっては、サイバー捜査の高度化により「匿名」の加害者が特定され、摘発されるケースは近年珍しくない。

 平成21年3月には、お笑いタレントのスマイリーキクチさんのブログに殺害予告や事実無根の書き込みをしたとして、脅迫や名誉毀損(きそん)などの容疑で男女6人が書類送検されるなど注目された。一方、書き込みや記事を集約して転載するいわゆる「まとめサイト」は盲点となっていた。

 ネット上の誹謗中傷対策に詳しい弁護士法人戸田総合法律事務所の中沢佑一代表は、こうした転載行為について「加害者側に『罪の意識』が乏しいのが現状」とした上で、「仮に中傷を広めようという悪意がなかったとしても、閲覧数を稼げるようにウェブサイトを見やすくレイアウトしたり、扇情的なタイトルをつけたりすることで、中傷の被害を拡大させる可能性がある」と指摘する。

 「西田さんには申し訳ないことをした」。書類送検された3人からは、そんな反省の弁も出ているというが、拡散した中傷記事を完全に抹消することはできない。“コピー&ペースト”で作り上げられた虚構はまだ、ネット上にあふれている。

最終更新:7/15(土) 10:42
産経新聞