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「無礼講」や「駆け付け三杯」本来の意味は 酒道語る

7/15(土) 8:00配信

岐阜新聞Web

◆加藤幸兵衛さん講演
 陶芸家の七代加藤幸兵衛さん(72)=岐阜県多治見市=が“酒道”をテーマに講演する「巡盃トーク」が、中津川市手賀野のギャラリー「詩と美術館」で開かれた。酒道の起こりは茶道や華道よりも古く、「無礼講」や「駆け付け三杯」など現代の酒席にもさまざまな言葉が受け継がれている。だが、本来の意味は-。加藤さんが分かりやすく解説した。
 同ギャラリーで9日まで開かれていた加藤さんの個展「シルクロードの陶華」のトークイベント。加藤さんが窯を受け継ぐ多治見市市之倉町は古くから杯生産が盛んな地区で、人間国宝だった父、故加藤卓男さんが中心になって開館した市之倉さかづき美術館がある。
 酒道について「夜な夜な赤ちょうちんを目指してふらふら歩く道のことではない」と冗談を交えて語る加藤さん。酒道でいう酒は日本酒のことで、かつては正月や結婚式といった季節や人生の節目の行事、神事など特別な日の飲み物だった。
 酒道は室町時代に確立されたといい、無礼講は礼講の対語。礼講は酒席の儀礼で、結婚式の三三九度のように杯を順番に回して口をつける「式三献」などの作法がある。神事では祭壇に酒や米などを供えて祈りをささげ、杯を掲げて乾杯する。こうした儀礼の後、参列者が作法の縛りを受けずに自由に飲食する場が無礼講という。
 では、駆け付け三杯は-。今では酒席に遅れてきた人に対し、罰として続けざまにビールなどを3杯飲ませる意味で使われるが、加藤さんは「礼講に出られなかった人の略式の礼講。礼講で順番に3杯口をつける式三献を心静かに1人で行うこと」と説明する。
 トークイベントでは参加者が大相撲の優勝力士が使うような大杯に酒を注ぎ、順に回し飲みして味わった。加藤さんは「歴史的に酒は特別な日の飲み物だった。酒を飲んで酔っぱらうことは神の境地にたどり着くこととされた。だから酒癖が悪い人ほど本来は酒癖はいいのかもしれない。飲み過ぎて家に帰っても、神様と十分に交信できたと言えば、酒飲みの言い訳の一つになる」とまとめた。

岐阜新聞社

最終更新:7/15(土) 9:34
岐阜新聞Web