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「何十年も経ちましたが、全て鮮明に覚えています」元刑務官が語った死刑執行の瞬間

7/15(土) 7:00配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 13日午前、2人の死刑囚の死刑執行を発表した。

 住田紘一死刑囚(34)は2011年、元同僚の女性(当時27)を殺害し、現金などを奪った強盗殺人の罪などに問われ、2013年に死刑が確定。西川正勝死刑囚(61)は1991年から1992年にかけスナックの女性経営者ら4人を殺害した罪などに問われ、2005年に死刑が確定していた。執行後の会見で金田法務大臣は「今回の2件につきましては、誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪うなどした、きわめて残忍な事案だ」と説明した。

 関係者によると、西川死刑囚は再審請求をしており、その中での執行は異例だという。金田大臣は一般論だと断った上で「再審請求を行っているから執行しないという考えは採っていない。死刑というものは人の命を絶つ、生命を絶つ極めて重大な刑罰であり、その執行に際しては慎重な態度で臨む必要があるものと考えている」とコメントした。

 死刑執行の日、拘置所では何が起こっているのか。閉ざされた刑場では、どのような時が流れるのか。AbemaTV『AbemaPrime』では一度だけ死刑執行に関わった元刑務官にインタビューを行った。

■遺族の仇をとってやらにゃいかんという使命感に燃えました

 インタビューに応じたのは、33年間にわたり刑務官を務め、大阪拘置所勤務時代に死刑執行に関わった藤田公彦氏(70)。今回死刑を執行した刑務官にかけたい言葉は何かと尋ねると「辛いけれども職務として自信をもって臨んで、また、今後に尾を引かないよう頑張って欲しい」と話す。

 「刑務官」とは、刑務所や拘置所の受刑者たちを更生させるために指導や監督などを行う国家公務員だ。藤田氏が死刑執行に携わったのは「まだ末端の若い看守」だったときのことだという。

 「夜勤明けのときのことでした。通常は朝の8時に集合して解散なのですが、その日は『今から呼ぶ者5名は、待機所で待機』という命令が出ました。居残りの場合は、『今から誰と誰は裁判所に行け』などと言われるのですがが、“待機“というのは一体何だろうと。まさか、という気持ちでおりました。待機室で『どうも執行ではないか』と噂をしておりましたら、30分後くらいに管理部長室に一人ずつ呼ばれ『(死刑執行ボタンを押す)執行係を命ずる』と言われました。みんな下を向いて、沈黙していましたよ」。

 死刑執行が近づくと刑場の清掃が行われるため、刑務官たちの間に“近いうちにあるのではないか“という噂も流れていたという。しかし当時、自分にその役目が回ってくるとは思っていなかったという。

 「当時は、勤務成績の悪い者がペナルティとして執行係をやるのが相場だったんです。私は真面目だったので(笑)、自分がやることはないだろうと変な自惚れがありました。ところがその前の執行担当者のなかに、ボタンを押さなかった職員がいたそうです。同じ形のボタンが5つあり、5人の係が一斉にそのボタンを押すことで、誰のボタンが絞首台につながっているのか分からない仕組みにしてあるのですが、踏み板が落ちなかったので発覚したのです。ただ、途中で執行を止めることはありません。刑場には故障などに備えた非常用のハンドルがあり、万が一の場合はそれを動かすと踏み板が外れるようになっています。そういうことがあって、しっかりした真面目な者を選べということになったと聞きました」。

 刑務官を拝命して間もない頃で、死刑囚に接触したこともなかったという藤田氏。執行の意味を考えるため、自ら犯行記録に目を通したという。

 「その死刑囚はすでに70歳を超えていました。なぜ年老いた人を執行しなければいけないのか、そのまま老衰で死なせてやってもいいのではないかという思いもありましたので、自分を納得させるために記録を読みました。仮出所した際、お寺の住職さんが身元引受人になり、自宅に下宿させ仕事まで見つけてくれたそうです。その恩を仇で返すように、奥さんと娘さんを強姦・殺したのです。これは許せん、被害者遺族に代わって敵を討ってやらにゃいかんという使命感に燃えました。そういう正義感から躊躇なく押すと決意したことを覚えています。だから一切躊躇することはなかったです」。

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最終更新:7/15(土) 7:00
AbemaTIMES

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