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自閉症を抱えたボブとその家族。救急病棟で見た彼らの苦悩

7/15(土) 6:04配信

ホウドウキョク

「10歳の自閉症を抱えた息子さんの世話に心身ともに疲れきってしまった母親がいるので、サポートして欲しい」

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この日もまた、聞き慣れたシナリオが医師によって説明され、私は救急病棟へと足を運んだ。

患者のボブ(10歳男児・仮名)は極度の自閉症で、かなりのBehavioral Issue(自身の行動を自分自身でコントロールできない症状)を抱えた少年だ。

頭を打ち付ける自傷行為から怪我を避けるため、ヘルメットをかぶっているものの、それでも顎は自傷ですりむけ、赤く腫れ上がっていた。また両手の甲はどちらも傷だらけで、見ているだけでも痛々しい。

自閉症を抱えたボブとの生活

私は、アメリカでソーシャルワークの修士号を得たのち、市営病院の小児救急病棟でホスピタル・ソーシャルワーカーとして働いている。

ソーシャルワーカーとして、弱い立場にいる人々の自立と生活向上のために救急病棟にて奮闘する毎日だ。

そもそもボブはこの日、39度近い発熱を理由に救急病棟に運ばれてきた。しかし、検温、血圧、心拍数など通常ナースが当たり前に行うことが想像を絶するほどに難しかった。

興奮状態で訪れたボブは大声で叫びながら、振り回した腕でだれかれ構わず叩きつけ、必死で抑えようとするお母さんの手をひっかき、しまいにはかじりだした。

診察することなど到底できない興奮状態のボブに、最終的には両腕、両足に拘束具をつけ、Ativanと呼ばれる鎮静剤が注射され、ようやく落ち着いたところで診察が行われた。

何が理由かわからないが、ここ3週間、このような興奮状態が続いていて、夜もまともに眠らず、家族を疲労困憊させているのだという。お母さんは夜中の2時に起きてから眠っておらず、疲れ切った表情を見せていた。
ここで少しボブの家庭環境を説明しておこう。ボブは6人兄弟の3番目。上から16歳、14歳、10歳(ボブ)、7歳、6歳、1歳となっている。38歳のお父さんが6人全員の実の父親だが、小さい3人は現在のパートナー(42歳、今回病院にきたお母さん)との間に生まれた子供だ。

ボブの実のお母さんは、2歳の時に失踪してしまった。お父さんもお母さんも怪我とメンタルヘルス問題で働くことができないと申請しているため、行政からSocial Security Disability と呼ばれる福祉手当を受けている。

ボブと14歳のお兄さんも自閉症の認定を受けているため、Supplemental Security Incomeと呼ばれる低所得者への障害福祉手当を受けている。このほか、いわゆるFood Stampと言われる食品配給券もこの家族は受給している。

生活は基本、行政からの補助金で成り立っているわけだが、それでも一家8人が生活していくには決して楽な金額ではない。

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最終更新:7/15(土) 6:04
ホウドウキョク