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裁判官と検察官、弁護人も全員交代 厳戒態勢で公判

7/15(土) 18:32配信

福井新聞ONLINE

 福井地裁での刑事裁判中に検察官を床に押し倒しけがをさせた公務執行妨害、傷害や常習累犯窃盗など五つの罪に問われた福井市生まれの住所不定、無職牧野武被告(32)の論告求刑公判が14日、福井地裁(渡邉史朗裁判長)であった。

 4月の前回公判で被告が検察官に襲いかかったことを受け、警備を通常の2人から8人に増やす異例の厳戒態勢が敷かれた。裁判官、検察官、弁護人は全員が交代。1号法廷は通常、傍聴席から見て左側が検察官席、右側が弁護人席だが、裁判長の判断で左右を入れ替え開廷した。

 被告の出入り口は左側にあり、普段は検察官席の脇を被告が歩くが、この日は双方を入れ替えたことで両者が近づくことはなかった。検察官席の周りには刑務官とみられる3人が配置され、通常は中央の証言台の前で行う被告人質問も、弁護人の前の被告人席で着席したまま行われた。

 前回まで1人で審理していた裁判官は外れ、民事担当の裁判官も加えた3人の合議体に変更。検察側は「ホームレス状態」と発言した検察官、襲われた検察官はいずれも交代しており、この日は3人目となる検察官が務める事態となった。

 地裁は法廷前で傍聴人に対し所持品検査を実施し、物々しい雰囲気となった。

 14日の公判で検察側は「犯行を反省すべき場である公判で犯行に及んだのは、法秩序を軽視する態度の表れ」などとして懲役5年を求刑した。

 検察側は冒頭、2月の初公判で被告について、車中で寝泊まりする「ホームレス状態」と発言したことを「ごみをあさったりする卑しい人間という意味ではなく、住所不定という趣旨」と説明。論告では「不満を暴力的な手段で解決しようとする自己中心的な犯行」とした。

 牧野被告はホームレス状態と言われたことに腹が立ったと述べた。弁護側は「不快感を与えかねない不適切な表現。検察官が無用なトラブルを招き極めて遺憾」と指摘。常習累犯窃盗は反省しているとし、寛大な判決を求めた。

 起訴状によると牧野被告は4月28日、福井地裁で公判中、検察官に飛びかかり押し倒して髪を引っ張る暴行を加え、職務を妨害、首に擦り傷を負わせた上、退廷後には地裁地下の収容室で窓やのぞき窓のガラス計3枚(損害額計3万1892円)を蹴るなどして破損させたなどとされる。