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【高校野球静岡大会】静商・深沢天投手 伝統校のエース自負、気迫の直球

7/16(日) 7:55配信

産経新聞

 最後まで得意の直球で押し切る-。そう決意して挑んだ夏の1回戦。打線が魅力の磐田南に初回から4安打を浴びる。打たれたのはいずれも自慢の直球だ。それでも直球で押し続けた。

 新チーム発足直後の昨年8月。ピッチャーライナーを頭部に受けた。復帰に向けた練習中に今度は膝をけが。エースとして期待されながら、秋も春もマウンドに立てなかった。エース不在の中、仲間たちは「バッティングで勝てるチームにする」と奮闘してくれたが、結果が伴わずチームは苦しい時期を過ごした。

 「自分を信じて待ってくれた仲間の気持ちに応えたい」と臨んだ夏のマウンド。高田晋松監督には「ストレートが駄目ならマウンドを降ります」と覚悟を伝えてマウンドに上がった。立ち上がりで3点を失ったものの、持ち味の伸びのある直球が低めに決まり出し、二回以降は投球が安定。だが、「先がある選手。無理はさせられなかった」(高田監督)と5回3失点で後輩の古屋にマウンドを譲った。

 チームはこの後、逆転するも、九回に同点に追いつかれると、悪い流れを断ち切れず、延長十回表に1点を勝ち越されて4-5で敗れた。

 静岡商は春夏15回の甲子園出場を誇る名門。スタンドではプロ野球巨人のエースとして活躍したOBの新浦寿夫氏も声援を送ったが、惜しくも1回戦で姿を消した。

 「子供たちに背負わせすぎたかもしれない」。試合後、高田監督はこう選手たちを気遣ったが、3年生として迎えた最後の夏に伝統校のエースナンバーを背負って思う存分得意のストレートを投げ込めたという自負もある。

 「人生で一番楽しいマウンドだった」。初戦敗退となったマウンドの感想を尋ねられると、こう言って、一瞬だけ笑顔を見せた。(石原颯)

最終更新:7/16(日) 7:55
産経新聞