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大手たばこ会社が狙うのは20年で喫煙率4割増の「アフリカ」アフリカ

7/16(日) 9:10配信

ZUU online

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)やフィリップ・モリスなどの大手たばこ会社が、喫煙による健康への害を消費者に促す規制の導入をめぐり、アフリカ地域の政府と裁判をとおして全面的に争っているという。

先進国で禁煙規制の導入が進む中、2010年から2030年にかけて40%の喫煙者増加が見込まれているアフリカ(米国がん協会調査) は、大手たばこにとってどのような手段を講じても「喫煙フリー」にしておきたい最後の砦なのだろう。

■今世紀中にアフリカの喫煙者数が6億人に達すると予想

大手たばこ会社は近年、禁煙キャンペーンが加速する先進国からアフリカ・南アジア地域へと、主要ターゲットの移行を図っている。

米国がん協会の調査によると、南アフリカを除くアフリカ地域で1990年から2009年にかけ、たばこ市場が70%の成長率を記録するなど、先進国とは対照的な展開を見せている。また先進国のような禁煙規制が導入されなかった場合、アフリカの喫煙者数は今世紀中に現在の7700万人から5億7200万人に達する と推測されている。

たばこ産業にとっては、巨額の利益創出を期待できる「ドル箱地域」だ。先進国のような喫煙規制の導入を阻止するべく、あらゆる手段を講じる動きが活発化するのも不思議ではない。

■先進国では常識となった禁煙規制がアフリカでは「不公平」?

ガーディアン紙が入手した非公開の裁判所文書によると、BATは弁護団をとおして「禁煙規制法案の全面破棄」をケニア政府に要請。高等法院で敗訴したため、8月に最高裁判所で争う構えだ。

別の文書では、ウガンダ政府が2015年に導入したたばこ規制を「構造に反する矛盾した行為」と批判しているほか、同じくウガンダ、ナミビア、トーゴ、ガボン、コンガ、エチオピア、ブルキナファソなどの政府に、「各国の法律だけではなく国際貿易協定にも背く行為」などとして、「脅迫めいた文書」を送りつけていたという。

BATなどが批判しているアフリカ地域の禁煙規制(あるいは法案)とは、「パッケージなどに健康への害を警告を記載する」など、先進国ではすでに常識となった範囲である。地域が変わるだけで突然「不公平な規制」ととらえる姿勢こそ、大きな矛盾ではないのか。
■BAT会長「人類と健康に有益となるたばこ規制」を要請

3月に行われた年次報告会でこの問題についてコメントを求められたリチャード・バローズ会長は、「たばこ産業は規制されるべきだ」と認める反面、「人類と健康に課せられた使命に有益となる規制」である必要性を主張した。

バローズ会長の解釈を単純に受けとめると、「発展国では有益とされる禁煙規制は、アフリカでは無益」ということになりかねない。BATが訴えかけている「禁煙規制が新興経済に与える損益」や「たばこ産業自体に与える損害」を最優先させれば、確かに一理あるのだろう。

アフリカのほとんどの国が世界保健機関(WHO)のたばこ規制条約に参加しているにも関わらず、実際の規制導入には時間がかかっている。大手たばこ会社による圧力や妨害の影が、背後に見え隠れしている現状は否定できない。

対照的に規制強化が進む先進国では年々喫煙者が減少。英国を一例として挙げると、1974年には男性喫煙者の割合が50%、女性喫煙者の割合が40%だったが、2015年にはそれぞれ19.1%と14.9%にまで減った(英国公衆衛生庁調査 )。

2007年のスモーキング・バン(公共の建物内での全面禁煙規制法)以降、心臓病による35歳以上の死亡率も20%、脳梗塞は14%下がったという。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:7/16(日) 9:10
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